個性や「やりたいこと」を重視、多様化する若者の挙式スタイル

個性や「やりたいこと」を重視、多様化する若者の挙式スタイル

自身の結婚式で司会をする新郎新婦。(資料写真、北京=新華社配信)

 【新華社北京4月19日】中国浙江省平湖市でこのほど、一組のカップルが結婚式を挙げた。予算わずか5千元(1元=約21円)の「ミニマルウエディング」だったが、出席した親族や友人から好評を得ただけでなく、ネット上でも大いに注目された。若者の間ではここ数年、個性や自分たちが本当にやりたいことを追求した新たなスタイルの結婚式が流行している。

 今や結婚式の主導権は若者が握っている。建前を取り除いた本当の気持ちを大切にし、「シンプル」「気楽」「個性」を追求する。音響や照明による派手な演出を控え、お色直しの回数を減らし、新郎新婦をサポートする付添人を付けず、中には新郎新婦自らが司会を担当する場合もある。

個性や「やりたいこと」を重視、多様化する若者の挙式スタイル

新郎新婦と電動バイクの「ブライダルカー」。(資料写真、北京=新華社配信)

 「外見を飾り立てるより、心のこもった交流を重視した」と話す湖南省株洲市の女性、蘇(そ)さん(27)は1月、特別な結婚式を挙げた。式の内容は簡潔さを旨とし、指輪の交換、誓いの言葉、親族や友人のスピーチなど主要要素に絞った。司会進行は蘇さんの親友による「友情出演」だった。

 ミニマルウエディング以外に「テーマウエディング」も若者の人気を集めている。ゲームキャラクターに扮して友人とオンラインゲームをする、好きなアニメのキャラクターを結婚式に呼び音楽に合わせて歌い踊る、ペットを「主役」にして「萌え」の要素を取り入れるなど、さまざまなテーマの演出が行われている。

 ウエディングプランナーの趙(ちょう)さんによると、新郎新婦はこれまで結婚式の内容を考える際にゲストの気持ちを重視する傾向があったが、ここ数年は自分たちの気持ちややりたいことを最優先するカップルも出てきた。主要ソーシャルメディアには「テーマウエディング」の写真や動画があふれ、数十万から100万に上る「いいね!」が付けられたユニークな作品も存在する。

個性や「やりたいこと」を重視、多様化する若者の挙式スタイル

雲南省大理市双廊鎮にある湖山雲隠海景リゾート民宿にセッティングされたディスティネーションウエディングの会場。(資料写真、北京=新華社配信)

 「ディスティネーション(目的地)ウエディング」も流行している。雲南省や四川省西部などの知る人ぞ知る景勝地で挙げる結婚式はゲストや友人がおらず、場合によっては両親すら同席しない。結婚の報告を新聞に掲載するカップルもおり、レトロな形式が復活している。さまざまなスタイルの結婚式が続々と登場し、若者の支持を集めている。

 吉林大学哲学社会学院の賈玉嬌(か・ぎょくきょう)教授は「結婚式の多様化は若者世代のますます鮮明になった個人中心の結婚観を反映している」と指摘。結婚式のスタイルはもはや伝統的なしきたりや両親の意向に従うものではなく、若者の結婚や結婚式に対する認識と理解、若者が共感するブライダル文化に沿ったものだと説明した。現在流行している結婚式はより自由かつ平等で開かれており、個人の経験や人生の意味をより重視する若者の考えが明確に示されている。(記者/楊珏)

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