自衛隊で意外な”チャットGPT”活用法…業務隊長は「限られた条件をスピーディーに最適解を」

アメリカのOpenAIが開発した生成AI「チャットGPT」。
質問を入力すると、まるで人間と会話しているかのように自然な回答が返ってくることなどから大きな話題となりました。
この「チャットGPT」の活用を始めたのが陸上自衛隊です。
と言っても、解決するのは身近な、こんなことなんです。

米子市にある陸上自衛隊米子駐屯地。
給食のチャイムの合図とともに一斉に隊員たちが給食を手に取ります。
この日提供されていたメニューは「たらの変わり揚げ」実はこちらのメニュー…

キャスター 小林健和
「隊員の皆さんが食事されているこちらの給食なんですが、実はチャットGPTを活用して作られた料理なんです」

「チャットGPT」を活用して開発したメニューだというのです。

開発したのは、食事などで部隊の活動を支える業務隊の山根木業務隊長です。きっかけは、いったい何だったのでしょうか?

陸上自衛隊米子駐屯地業務隊 山根木敏之 業務隊長
「調理のしやすさ、また栄養素、エネルギー、その限られた条件をスピーディーに最適解を得るためには、AIを使った方法というのは非常に有効な手段の一つ」

業務の効率化です。
実際にチャットGPTを使い、条件を付けてタラを使った料理に関する質問を業務隊長がすると、すさまじいスピードでメニューが3つ考案され、調理時間やカロリー、メニューの特徴を教えてくれます。

体が資本の隊員たちにとって、栄養バランスも重要になってきますが、大まかなメニューが決まったら、管理栄養士などと相談しながら最終的なメニューに仕上げていくということです。

陸上自衛隊米子駐屯地業務隊 山根木敏之 業務隊長
「スタッフにも、こういう指示を出して検討してくれという形でやってもらうが、なかなか時間がかかるので、こういう形のものが何個かあるけど、どれが1番いいか。つまり1番やりやすいやつですね。これをみんなで検討してもらった方が簡単に回答が得られる」

作業スピードの効率化と徹底した栄養管理に加えて、隊員1人1人がおいしく給食を味わってほしいとの思いからこんなところにも工夫を凝らします。

陸上自衛隊米子駐屯地業務隊 山根木敏之 業務隊長
「多様性が非常にあるので、1人1人のニーズにこたえるためにも多様性あるダイバーシティな、今回はソースという形で、給食の魅力化に取り組んだ」

多様化したニーズにこたえるために、タラにかける5種類のソースを用意。もちろんこちらもチャットGPTを使って考案しました。隊員たちも、AIを活用した給食に大満足です。

隊員は
「おいしかったです。栄養バランスがちゃんと整っている食事を提供いただいているので、これ食べといたら体が整うかなって信じて食べている」
「日々厳しい訓練に取り組んでいるので、毎日の食事の時間が本当に楽しみ」

陸上自衛隊米子駐屯地業務隊 山根木敏之 業務隊長
「隊員は日々厳しい訓練に耐え、その中でこの給食という観点においては、1日の中でも3回隊員の楽しみであると考えている。隊員が満足するだけではなくて、感動を提供できるような給食をこれからも開発していきたい」

今年度は鶏を使った料理のメニューもチャットGPTを使って考案する予定とのこと。

自衛隊員の体も作るチャットGPT。
隊員にとってはエネルギーと楽しみ、そして調理スタッフにとっては
業務の効率化にもつながっているようです。

© 株式会社山陰放送