【甲子園】夏大会2部制の問題点は…「観客入れ替え制ならファン離れ」「高校生の部活なのにナイター」

開幕3日間だけ、実験的に試合開始時刻が変更となる

日本高野連などは19日、今夏の第106回全国高校野球選手権大会(8月7日開幕)の第1日~第3日を午前と夕方に分ける「2部制」にすると発表した。

酷暑対策としてこの3日間を3試合とし、初日は開会式後の第1試合を午前10時、第2試合を午後4時、第3試合を午後6時半からナイターで行う。第2日と第3日は午前8時、午前10時35分、午後5時開始とし、観客は午前と午後で完全入れ替え制にする。

第4日以降は従来通りの1日4試合の日程に戻るが、準決勝は午前8時、決勝は午前10時開始に繰り上げ、もっとも高温となる時間帯を避けた日程を組んだ。

来年以降の4試合での2部制実現を視野に入れての実験的な試みに違いないが、主催者関係者からは「お客を入れ替え制にしたら、夕方の試合開始まで何時間も外で時間を潰さないといけない。甲子園の周りに何時間も待つところはないし、午前だけとか、通しで見る人が減ったらファン離れにつながる。本当のファンが減る」と心配する声が聞かれる。4試合観戦できるところが、入れ替え制ならお目当ての試合だけの「ライト」なファンが増え、午後のチケットがあっても空き時間の問題が生じるという。

また、第4試合の試合終了時間が遅くなることも賛否ありそうだ。高温時間を数時間避けるなら連日のナイターが確実となり「7時から始めても高校生が夜の9時、10時まで部活をやることになる。そんな時間まで高校生の試合をテレビ中継していいのか」との意見だ。2018年夏の京都大会では準々決勝を〝2部制〟としたところ、第4試合の終了が夜10時半を過ぎ「高校野球は教育の一環」との概念からすれば「ふさわしくない」というわけだ。

高野連としても長らく協議を重ね、やっと踏み出した大きな一歩。出場校の数を考えれば連日の4試合開催となり、球児の健康を思えば高温の時間帯は避けたい。昨夏は5回終了時に体を冷却する10分間の「クーリングタイム」が設けられたが、まだ気温の上がっていない時間から熱中症で足のつる選手が続出するなど改めて危険性が浮き彫りになっている。もはや夜中のゲームセットもやむを得ないだろう。

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