お金を貯められる人と貯められない人の差は? “お金が貯まる仕組み作り”のコツ

財布の見える化

現金とクレカ1枚が理想。中身をさらっと言える状態をキープしたい。
カードやレシートで財布がパンパンだと、いくら持っているのかが見えにくくなる。お金に対する意識も薄れ、結果的にだらだら使いがちに。

「実際、お金の流れを自覚し、きちんと管理できている人の財布はスリムでスッキリしています。気づいたらお金がない……という人は、財布の整理、見える化を徹底しましょう」

やり方はカンタン。財布の中身をすべて出し、本当に必要なものだけ戻せばOK。今はキャッシュレス化が進み、スマホで支払いを済ませられるケースも多いので、財布に入れて持ち歩くべきものは、ごく少なくていいはず。

「基本的には、5000~1万円程度の現金とクレジットカードが1枚あれば十分。カードが多いと、全体でいくら使ったかわからなくなり、引き落とし日も増えて管理が大変です」

財布の中身がシンプルになるほど、お金の流れもわかりやすくなり、使った額も意識できるように。ちなみに、現金とキャッシュレスなら、お金ビギナーにはどちらがおすすめ?

「キャッシュレスのほうが貯まるというデータもありますが、使いすぎるから現金がいいという声も。どちらがいい悪いではなく、自分の管理状態を整理したうえで選ぶのがベストです」

ポイントカード

よく使うカードもアプリ化すれば財布に入れる必要なし。
ポイントカードはアプリ化してスマホで管理すれば、財布はスッキリ。「ただしアプリも見える化しないと、ポイントが期限切れになったり、提示し忘れたりしてムダに。使わないものは定期的に削除して整理しましょう」。クーポンなどの入れっぱなしにも注意を。

キャッシュカード

財布になるべく入れない。“足りなくなったら下ろす”から卒業を。
キャッシュカードは財布から出し、自宅で保管。「必要な現金は月1回まとめて下ろし、その中でやりくりを。“足りなくなったら下ろす”を繰り返していると予算意識が持てず、給料日前にいつも苦しくなることに。ATMの時間外手数料もばかになりません」

レシート

受け取り&整理をルーティンに。帰宅後の1分がポイント。
レシートは支出の把握にマスト。財布の中でぐちゃぐちゃにならないよう、帰宅したらすぐに財布から出す習慣を。「自宅に封筒や専用ケースなどを用意して保管するか、スマホで撮って処分を。溜め込むと面倒になるので、日々の“スキマ時間”を利用しましょう」

クレジットカード

多くても2枚まで。使いすぎる人はデビットカードに切り替えて。
クレジットカードを複数枚持つと出費の管理が複雑に。「多くてもメインとサブの2枚までに。カードは使いすぎが気になるし、支払いが翌月になるのが面倒な人は、即時引き落としのデビットカードを。現金感覚で使えて、キャッシュレスの便利さも享受できます」

お金が貯まる仕組み作り

先に貯めて残ったお金で生活する。生活費の3か月分を確保!
貯蓄できるのは残業代が多い月だけ。しかもその貯蓄は、何か買ったらすっからかん……なんて人は、たとえ収支が黒字でも赤信号。働けなくなったら、一気に生活に困ることになるので、まずは生活防衛資金を確保しよう。

「生活防衛資金は、万一収入がなくなったときに当面の生活費をまかなうお金。少なくとも生活費の3か月分、シングルならできれば半年分の貯蓄は常に持っておくのが安心です。そのぐらいあれば、傷病手当金や雇用保険の基本手当(失業保険)が出るまでの2~3か月間も生活できるので、病気による休職や、退職したときでも安心です」

確実に貯めていくためには、“残ったら貯める”や、“収入が多いときだけ貯める”のではダメ。少額でもいいので、給料が入ったら必ず定額を“先に貯める”のが鉄則。使う前に貯める分を確保し、残ったお金で暮らす生活を定着させたい。

「貯められる人と貯められない人の差は、ゴールの明確さ。それとお金の流れの整理が決め手です。特に先取り貯蓄は、積立定期預金など自動的に貯められるシステムを使いましょう」

何ごとも最初の設定が肝心。下の仕組み作りを参考に口座を整理し、貯まる仕組みを整えてみよう。

仕組み作り1:目的・金額・期間を決める

「貯められる人はゴールが明確」と黒田さん。ではそのゴールの立て方は? 「目的だけでなく、金額と期間を明確にするのがコツ。たとえば、海外留学資金(目的)として、150万円(金額)を、2年(期間)で貯めるという具合です。目的、金額、期間が決まるとやるべきことが見えてくるので、具体的に動けるように。これをゴールベースアプローチといいます」

【ゴールベースアプローチとは?】
・具体的な目標を設定
のために万円を年後までに貯蓄する、と明確なゴールイメージを作る。

・貯蓄計画を立てる
目標達成のために毎月いくら貯蓄するか、どのような金融商品がいいかなどを検討する。

・貯蓄計画を実行する
毎月の貯蓄を確実に達成していくために、日々の支出を減らすなど家計を管理する。

・貯蓄状況の確認・見直し
定期的に貯蓄状況をチェック。収入や生活の変化に応じて貯蓄金額や運用方法を見直す。

仕組み作り2:お金の置き場所を分ける

口座を〈使う〉〈貯める〉〈増やす〉の3つに分けると、お金を管理しやすくなり貯蓄に有効。「給与が入ったら、貯蓄分は〈貯める口座〉に即移動し、先取りで貯めます。残りの給与が入っている口座を〈使う口座〉にし、ここから固定費の引き落としや現金の引き出しを。〈増やす口座〉は投資用。〈貯める口座〉に生活防衛資金が十分貯まってから準備しましょう」

【用意すべき3つの口座とは?】
・使う口座
生活費を置く場所。給与振込口座に設定し、生活費は全部ここから出すようにすると、管理もラクに。

・貯める口座
使う口座と同じ銀行の積立定期預金が便利。勤務先の財形貯蓄を利用しても。

・増やす口座
5年以上使う予定がないお金を置く場所。証券口座やNISAなどの投資用が該当。

くろだ・なおこ ファイナンシャルプランナー。CFP(R)認定者、1級FP技能士、城西国際大学非常勤講師。セミナーや講演、メディアなど多方面で活躍。『マンガでわかる お金に人生を振り回されたくないから超ビギナーが今すぐやること教えてください』(主婦の友社)ほか、著書多数。

※『anan』2024年4月24日号より。マンガ・サヲリブラウン 取材、文・大上ミカ(カクワーズ)

(by anan編集部)

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