少しでも投げ間違うと…長距離砲の怖さを再認識させたソフトバンク山川穂高の3ラン 詰まった2本の適時打でも技術証明

ヒーローインタビューを終え、ファンとタッチする山川(左)と津森(撮影・穴井友梨)

◆ソフトバンク9―7オリックス(19日、ペイペイドーム)
東浜と山下の先発とあって投手戦を予想していたところ、序盤から点を取り合う想定外の打撃戦。ともに中軸が2発ずつを打ち合う展開で、ファンも本塁打という野球の醍醐味(だいごみ)を楽しめたはずだ。その中で、山川の本拠地初アーチを含む5打点の活躍が際立った。

4回の3ランは完璧。山下のやや甘く入った直球を左中間スタンドの中段まで運んだ。開幕カードでも内角をしつこく突かれ、ここも捕手の若月は内角に構えていたが、一振りで仕留めた。少しでも投げ間違うと持っていかれる怖さを、相手も再確認したはずだ。

初回と6回の詰まりながらのタイムリーも価値があった。山川は軸回転で打つ打者で、バットが体に巻き付いてくるから内寄りの球も苦手ではない。タイムリーはいずれも内角で、6回は吉田が5球続けたシュートを打ち返した。あの追加点は特に大きかった。

4番で大活躍した山川だけでなく、5番の近藤も逆方向への本塁打に状態の良さが表れていた。3番の柳田は3得点。安打と3四球でチャンスメークするなど、中軸の得点力は心強い限りだ。得点後に投手陣がすぐ失点する嫌な流れを、打線がよくカバーした。

東浜は初回は全て内野ゴロで三者凡退。素晴らしい立ち上がりだったが、2回にセデーニョの3球三振の後、頓宮に初球を本塁打にされてリズムが変わった。コースを狙い過ぎ、相手に粘られて苦しくなった。救援陣では7回に流れを止めた津森の好投が光った。

今季の最大のターゲットは、リーグ3連覇中のオリックス。頓宮ら打線の状態が開幕当時より数段上がっている中で、敵地で勝ち越した開幕カードに続いて本拠地でもカード初戦を取ったことは大きい。20日の先発は好調なモイネロ。相手先発の東もいい投手だが、ぜひ連勝しておきたい。(西日本スポーツ評論家)

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