『イップス』篠原涼子とバカリズム、“掛け合い”の面白さが加速 藤原季節の出演秘話も

ドラマ『イップス』(フジテレビ系)が第2話にして、黒羽ミコ(篠原涼子)と森野徹(バカリズム)のバディとしての掛け合いがさらに面白くなってきている。

主人公が訪れた先で殺人が起きる、というのはミステリー作品ではお決まりと言えることだが、ミコが嬉しそうに目をキラキラさせながら「また事件に巻き込まれたんだよ」と森野に擦り寄り、「ねえ、クビ突っ込んでいい?」と確認する姿、篠原涼子の表情が生き生きとしていて、初回からさらに演技が乗ってきたなと感じた。

思わず笑ってしまったのは、事件現場に張られた規制線の「KEEP OUT」越しで記念写真を撮るミコの姿。鑑識も困惑しながらパシャパシャと撮影し、ミコは調子に乗って笑顔でサムズアップしながら規制線を越えていく。刑事である森野の普通はくぐるもという冷静な教えに、もう一度記念写真をやり直すミコもシュールで、どこかチャーミング、だからこそなんとなく許されている雰囲気がある。ここに篠原が演じる理由があるのだろう。

ミコが口にする「死体の第2発見者」という聞いたことがありそうで聞いたことのないワードも面白いが、覚えたての「マル害」という警察用語をドヤ顔で使うミコにクスリとさせられる。

放送中盤にして事件はほぼ犯人を断定する形となるが、やはりここで森野のイップスが発動し、もう少しというところで推理は行き詰まってしまう。そんな森野をミコは解けるように後押ししていく立場にある。その時のやり取りはSNSでのDM。コメンテーター……ではなく、ミステリー作家としてのミコに対してはアンチコメントを変わらず送り続けているのに、DMでは普通に会話できる森野。これからも2人は連絡先を交換せずに、この絶妙な距離間でいるのだろう。

ミコの支えのもと、「よし」と自分を鼓舞し、一気に事件のトリックを語り始める森野。「はぁはぁ」と息を荒くする森野とバトンタッチするかのように、ミコが殺害されたチョロ(細川岳)の裏アカでの投稿をトドメの一撃とする、2人のコンビネーションも互いの弱点を補い合った見事なコンビネーションである。

今回、犯人役を演じたのは、藤原季節。殺害されたチョロとよっちゃんとして、「悪童エクスプレス」のコンビを組んでいる、過激なインフルエンサーだ。いわゆるYouTuberが描かれるドラマはもはや珍しくないが、森野とミコに自供する模様をスマホで撮影し、「刑務所から出るとき、この動画配信したらバズりそうじゃないですか?」というのは呆れるほどに恐ろしい執念を感じる。「もがき続けたら絶対にリスタートできる、かもね」というミコの言葉は、書けなくなったミステリー作家としての自分に向けて言っているようでもある。

放送を受けて、藤原は自身のX(旧Twitter)アカウントを更新し、2020年公開の映画『佐々木、イン、マイマイン』での細川岳との共演が縁となり、今回の『イップス』への出演に繋がったことを明かしている。

https://twitter.com/kisetsufujiwara/status/1781307745343537220

第3話の犯人役は塚本高史。森野をモデルとしたミコの推理小説の構想が進む一方で、ミコの弟で弁護士の慧(染谷将太)が、過去に森野が担当したミコの小説『歪な十字架』模倣事件へと近づいていた。

(文=渡辺彰浩)

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