地震後に休業していた七尾市今町の人気おでん店「小なみ」が19日までに営業を再開した。創業から54年、1人で切り盛りしてきた奥原桂子さん(84)=矢田町=は高齢も理由に商売をやめることも考えたが、再開を望む声を受けて再びのれんを掲げた。奥原さんは常連らの笑顔に囲まれながら「幸せやね」とだしの染みた熱々のおでんを作り続けている。
1970年創業の小なみは豊富な具材に加え、地物の魚、旬の山菜、ドジョウの唐揚げなど多彩な料理を提供。おでんに添えられた特製ユズみそも絶品で、奥原さんの気さくな人柄も慕って県内から大勢の人が訪れてきた。
地震で建物に大きな被害はなかったが、壁にひびが入り、調理器具や食器が散乱。2月末まで断水が続いたことから「潮時か」と頭をよぎったが、営業再開を心待ちにする客は多く、店内の片付けを進めた。
4月に入ってから店を開き、常連だけでなく、復旧に携わる事業者も来店している。17日夜も10席ほどのカウンターは満席が続いた。奥原さんは「お客さんの『おいしい』で元気が出る。ずっと続けんとね」と笑顔を見せた。