小松市立博物館解体へ 能登半島地震で被災

能登半島地震で被災して解体される小松市立博物館

  ●6月定例会に条例改正

 小松市は、能登半島地震で被災し休館中の市立博物館を、解体する方針を固めた。解体に向けた関連条例の改正案を市議会6月定例会に提出する予定で、既に収蔵資料約4万5千点を別の収蔵庫に移設する作業に着手している。19日開かれた市議会経済建設常任委員会で、市側が説明した。

 市立博物館は1970(昭和45)年に建設された。鉄筋コンクリート造り3階建て、延べ床面積2053平方メートルで、展示室や収蔵庫、市民ギャラリールフレを備える。

 市内の建築設計事務所が建物を調査したところ、2階天井の大梁(はり)に危険なひび割れが見つかったほか、基礎部分や床、壁、階段などにひびがみられた。約5センチの地盤沈下も確認された。同事務所は市に対して「大きな地震が発生した場合、建物倒壊の危険性がある」と報告した。

 市は、3月末までだった休館・利用停止を今月1日以降も延長し、市民ギャラリーの利用を予約していた延べ19団体に連絡した。市議会6月定例会に、市民ギャラリー条例の廃止案を提出する。今年度に建物のアスベスト調査を予定しており、結果を基に解体時期を検討する。

 収蔵資料は歴史・美術など人文系資料約1万点、剝製や化石、昆虫標本といった自然系資料約3万5千点がある。市は、芦城公園内の美術館収蔵庫や八幡町の鉄道高架下収蔵庫など既存の収蔵施設に移し始めた。

 このほか市側は、能登半島地震の広域避難の受け入れ先だった里山健康学校せせらぎの郷で、休業していたレストランを26日から営業再開すると説明した。

 19日開かれた市議会総務企画常任委員会で市側は、被災した市民センター大ホールの改修に伴い、5月末までだった使用休止期間に7月8日~8月9日を追加するとした。

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