県、地震想定見直し着手 断層、海岸被害を追加

  ●来年3月に取りまとめ

 石川県は19日、1月の能登半島地震を受け、地域防災計画に定めている県内の地震被害想定の見直しに着手した。26年前に策定した被害想定が初めて更新されることになる。今回の震源となった能登半島沖の断層での発生想定を新たに加えるほか、宅地液状化や海岸施設、介護・福祉施設への被害も算定に盛り込み、来年3月までに取りまとめる。

 同日の県防災会議震災対策部会で見直しの方針を示した。部会で文部科学省の担当者は、能登半島沖の断層による地震の規模について、夏に評価結果を公表するとした。

 現行の被害想定は、県内4カ所の活断層を震源と見込み、1998年3月に公表。昨年5月には、富山や福井などにまたがる断層も加えた計10カ所で分析する方針を決めたが、今回の断層は含まれていなかった。

 98年の想定では、能登半島北方沖の地震で「死者7人、建物全壊120棟」としていた。一方、今回の地震は、4月19日時点で死者245人、8千棟超の住宅が全壊する被害が出た。

 今回の地震が元日に起きたことを考慮し、帰省客や観光客が多い年末年始、大型連休時に発生した場合も新たな想定に加える。市町ごとの宅地に対する液状化面積の割合、被災海岸の箇所数などのほか、介護施設の定員過不足数も盛り込む。

 部会では、能登半島での海岸隆起に伴い津波浸水想定区域を改定する必要があるとの意見が出た。半島地域は地震の被害が大きく、県は今回の検討とは別に、人口推移や建物復旧の状況を加味して改めて想定する。

 部会長を務める金大の宮島昌克名誉教授(防災工学)は会合で「地震の教訓を読み取って想定に反映し、防災力を一日も早く高める必要がある」と述べた。

 ★地域防災計画 地方自治体が地震や豪雨・土砂災害、津波、原子力災害などの発生に備えて定める災害対策の基本方針。被害想定や発生後の防災活動、避難計画を盛り込む。災害対策基本法は全都道府県と市区町村に策定を義務付けている。国の防災基本計画の修正や、最新の被害想定、地域の特性を反映した独自の対策などを盛り込んで改定する必要がある。

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