【巨人】高梨雄平が〝不動心〟で好救援 開幕二軍スタートも「焦って空回りすることはなかった」

1回無失点だった巨人・高梨

「不動心」で好救援を披露した。巨人は19日の広島戦(マツダ)に延長12回の末、0―0で引き分けも、前日18日に国内FA権を取得した高梨雄平投手(31)が1イニングを投げ、無失点の好投をみせた。

両軍ともに無得点のまま迎えた8回から先発・戸郷に代わって、マウンドに上がった。先頭の矢野は投ゴロに打ち取ったものの代打・二俣に投じた2球目の140キロシュートを左前に運ばれると、続く秋山にはストレートの四球。菊池の内野ゴロの間に走者はそれぞれ二、三塁まで進み、この日最大のピンチを迎えた。だが、ここでギアを引き上げ、最後は冷静に野間を三ゴロに打ち取って危機を脱した。

試合はドローに終わったものの、阿部監督は「今日は勝ったね、勝ちました」と長丁場を戦い抜いた高梨ら投手陣の〝奮投〟を冗談交じりにねぎらった。

これで今季一軍初昇格後、4試合連続無失点とブルペン陣の強力な一角を担っている高梨。前日18日には念願の国内FA権も取得し「ドラフト9位で入って、ずっと取りたいなと思っていたのでうれしい」と話すなど左腕は今、チーム内で最も勢いに乗っている。

一方で、今季の幕開けは決して順調ではなかった。自身初となる春季キャンプ二軍スタートとなると、3月29日の開幕戦にも一軍のブルペンにその姿はなし。4月9日に今季一軍初昇格を迎えるまでファーム暮らしが続いた。

それでも高梨は「焦って空回りすることはなかった」と平常心を欠かすことはなかったという。その理由についても力強い言葉とともに、こう明かしている。

「それ自体(二軍調整)は楽天の時にも経験しているので。そこで焦るのが一番良くない。そこでケガをした選手もたくさん見てきましたから。環境が変わると使う選手も変わるということはトレードを経て経験してきていますしね。焦っても仕方ないんです。とにかくどうやって自分のスペックを上げていくかということだけ考えていました」

自身がどんな状況に置かれても動じず、最善の策を講じて数々の障壁を乗り越えてきたクレバーな男。縁の下の力持ちとして、上位争いを続ける阿部巨人を今後も支え続ける。

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