【日本ハム】初昇格の清宮幸太郎に〝難題〟 新庄監督は左翼転向示唆もエスコンの守備は激ムズで…

日本ハム・清宮幸太郎

日本ハムの清宮幸太郎内野手(24)が19日に今季初めて一軍に昇格し、本拠地ロッテ戦に「7番・三塁」で先発出場した。同点で迎えた9回の第4打席で3番手・澤村から右翼への二塁打を放つと、代走を送られて途中交代。その後、一死満塁から代打・加藤豪の押し出し四球でチームは4―3で劇的なサヨナラ勝ちとなり、結果的に自身の一打が勝利の呼び水となった。満を持しての復帰に期待が高まる一方で、今後の課題も見え隠れしている。それはエスコンフィールドでの「新たな守備」だ。

終わってみれば4打数1安打で9回にサヨナラ勝ちを呼び込む二塁打を放ち、きっちりと存在感を示した。試合後の清宮は「少しですけど、貢献できてよかったかなと思います」と謙虚に振り返った。

今春、キャンプイン直前だった1月29日の自主トレ中に左足首を捻挫。チームの中軸として期待されながらも、いきなり長期離脱となって周囲を落胆させた。ただ、その後は順調にリハビリと調整を経て3月20日に実戦復帰。ファームでは計16試合の出場で本塁打こそ「0」も打率2割9分8厘、5打点の好成績を残し、この日の昇格につなげた。

となれば打棒には期待が高まるが、今後一軍定着するためには克服すべき難題も残されている。

清宮の本職はサードだが、今季の三塁では勝負強い打撃が持ち味の郡司が好調を維持。三塁守備も日ごとに成長を続けている。清宮は打撃面で郡司を上回らなければレギュラーはおぼつかない。

そんな状況だけに新庄監督は清宮の出場機会を増やすべく「ちょっとずつレフトを守らせていこうかな」と左翼手としての起用も視野に入れ始めている。ただ、プロ入り直後から生粋の内野手である清宮にとって左翼守備は重荷となる。特に本拠地・エスコンフィールドでの飛球処理は難しく、天井照明が白球と重なるため一瞬「消える」のが特徴。実際にこの日、清宮にサードを譲る形でレフトに入った郡司も左翼守備に関しては「エスコンでは飛球が高い確率で照明に入るので守備は本当に難しい。打者が打った瞬間に打球を追うのではなく落下点を予測して走る感じなので。慣れるまでには時間がかかります」とその難解さを強調している。

そんな高度な技術が要求される左翼守備に不慣れな清宮が挑戦となれば、守備重視のチームに影響を及ぼしかねない。その点を指揮官も理解しているからこそ清宮の左翼は「ちょっとずつ」なのだろう。清宮自身はこの日、左翼起用の可能性を問われると「与えられたところで自分の仕事をするだけかなと思います」と前向き。そのうえで「(ポジションの)こだわりはない」と言い切る。

出遅れた分の巻き返しが注目される清宮。プロ7年目での本格覚醒に向け新たな一歩を踏み出す。

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