【J2第11節プレビュー「上位激突」】清水の攻撃のカギを握るのはトップ下 仙台はCK&ロングスローにチャンスが(2)

清水の攻撃のキーマンMF乾貴士だが…  撮影:中地拓也

■清水は乾の出場が微妙か

4月20日に行なわれるJ2上位勢のバトル、清水エスパルス対ベガルタ仙台戦(IAIスタジアム日本平)は、清水が取り切れるか、仙台が守り切れるか、という戦いとなる。

清水側から見れば、MF乾貴士がいかに得点に絡めるかだ。この35歳が欠場した7節のモンテディオ山形は、0対2で完敗した。翌節の徳島ヴォルティス戦も不在となり、最下位のチームと引分けに終わった。9節のヴァンフォーレ甲府戦はベンチ入りし、0対0で迎えた後半途中からピッチに立つ。そこから試合の流れが一気に変わり、乾のアシストから決勝点が生まれた。

4-2-3-1のシステムでトップ下に入る乾は、1トップの北川航也を孤立させないようにしながら、ボランチ付近まで落ちてボールを呼び込んだり、サイドへ流れたりする。相手につかまりにくい立ち位置を取りながらボールを引き出し、得意のドリブルで守備ブロックを崩したり、スルーパスで味方を走らせたりするのだ。

その乾の出場が、微妙となっている。彼を欠くことになった場合は、松崎快をトップ下で起用し、右にルーカス・ブラガ、左にカルリーニョス・ジュニオの並びになるだろう。カルリーニョス・ジュニオは前節のいわきFC戦で前半途中に交代したが、今節の出場に問題はないようだ。

仙台からすれば、乾が出場するかどうかはともかくとして、守備ブロックの内側を締めるはずだ。それによって、1トップの北川へのパスルートを遮断するのである。北川がボールを収め、サポートしたトップ下の選手が前を向いてパスを受ける、という場面は作られたくない。CB菅田真啓とCB小出悠太が、北川に厳しいプレッシャーをかけてくるはずだ。

清水からすれば、守備時は4-4-2で前線から規制をかけてくる仙台の守備を、横に広げたい。両SBの攻撃参加は、その効果的な手段となる。

ここでもポイントになるのは、トップ下の選手だ。松崎(または乾)がボールを受けることで、SBが前へ出ていく時間が生まれる。

松崎(または乾)が、相手の包囲網をかわすのか。それとも、仙台のダブルボランチがマークの受け渡しをしながら、清水のトップ下を抑えることができるか。試合の行方を左右する重要な要素だ。

■仙台はセットプレーに活路を

仙台がここまであげた10得点を振り返ると、手数をかけずに相手ゴールへ迫っている。そのなかで相良が4得点、中山が3得点を記録している。清水は両SBの攻撃参加にも特徴があり、トップ下の選手にボールが入ると全体が前がかりになる。そこでボールを奪えば、カウンターを発動できる。相手SBの背後を突ける。相手トップ下のプレーを制限することは、そのまま効果的な攻撃へとつながっていくのだ。

セットプレーも生かしたい。清水は2節のV・ファーレン長崎戦、前節のいわきFC戦でCKから失点している。長崎にはゾーンディフェンスの間を、いわきにはゾーンディフェンスの外側を使われた。仙台のリスタートでキッカーを務めるFW中島元彦は、高精度のキックを操る。ターゲットとなる選手と彼のキックが連動すれば、得点のチャンスが広がる。

仙台はロングスローも使える。右SBの高田椋汰、左SBの石尾陸登が、距離のあるボールをゴール前へ入れることができる。10節の山形戦では、石尾のロングスローの流れからCB菅田がヘディングシュートを決めた。守備の時間が長くなることを想定しても、仙台はロングスローを含めたセットプレーを有効活用したい。

J2で戦うのは、清水が2シーズン連続、仙台は3シーズン連続だ。このままでは、危険な「沼」にハマりかねない。J1昇格を勝ち取るためにも、どちらにとっても負けられない一戦だ。今節のJ2最注目カードは、20日14時にキックオフされる。

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