【ガーデニング】バラ苗の植え付けと、開花前の作業ポイント

バラ愛好家なら知らない人はいないほどの人気品種、‘ピエール ドゥ ロンサール’(ピンク手前)。赤バラはその枝変わりの‘ルージュ ピエール ドゥ ロンサール’でしょうか。優雅な大輪つるバラの組み合わせ

4月下旬になるとバラのつぼみが見えだし、日に日にふくらんでいきます。その年の天候によっては4月下旬に咲きだす早咲きのバラもあるでしょう。最近は温暖化の影響か、バラの開花が早まっている気がします。バラ作業を着実にこなしながら、開花の時期を待ちましょう。

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アーチ仕立て、スタンダード仕立て、グラウンドカバーと、いろいろな仕立てのバラを植栽している海外のガーデン。株数は多くはないけれど情景の変化に富んでいて、目に楽しいコーナーです。

つぼみが割れてきたら肥料を与えるのはNG

4月下旬、バラの枝葉はぐんぐん生長を続けます。株は誰もがイメージする、バラらしい姿になっていることでしょう。

この時期のバラ育ての大事なポイントは肥料をストップすること。庭植えバラに追肥を与えていた方も、鉢植えバラに定期的に施肥を行っていた方も、4月中旬以降から花が終わるまでは肥料は中止します。

ドイツの公園に咲くサーモンピンクの‘アウグスタ ルイーゼ’。ドイツ生まれのバラで日本でも販売されています。樹高は1mほどで、花弁がフリルを帯びた八重咲きの花はとても華やか。

その際、つぼみをよく観察してください。つぼみが割れてバラの色が見えだしたら肥料を与えてはいけません。バラは開花前に肥料分が効きすぎると花弁の開きがいびつになったり、花色がどぎつい感じになったりして、すっきりと美しい花形で咲けないことが多いのです。

特に花弁数の多いカップ咲きのような品種はボーリングといって、つぼみが丸いまま開きにくくなったり、そのままつぼみが腐ってしまうこともあります。花弁の縁に色が入る覆輪の品種では、縁の色がにじんでクリアな発色が見られないこともあります。

気付かずに肥料を与えてしまった場合は、水やりの回数と量をふやして肥料分を抜くようにしますが、この場合は水の与え過ぎによる根腐れが心配になってきます。くれぐれも肥料の与え方には注意してください。

ピンクと白、どちらも小輪のつるバラを絡ませたアーチ。薄紫色のクレマチスも控えめにプラスして色のつながりと花形に変化をつけています。

4月は新苗の植え付けの適期

4月中旬ごろからガーデンセンターの店先には新苗が並びます。新苗は前年の秋ごろに専門業者が切り接ぎをした苗で、冬に出回る大苗よりも枝が細く株は繊細です。まだ子どもの苗といってもいいので取り扱いはていねいに、根土を崩さないように行ってください。

ただし、4月以降の気候は生育に適しているため、植え付け後はぐんぐん生長します。庭に植える場合、苗が小さいからといって植穴を小さくせず、日当たりのよい場所にスコップを使って幅、深さとも40㎝ほどの植穴を掘り、やわらかくなるように土をほぐしておきます。

筆者はバラの超初心者の頃、穴を大きく掘らずに植えてしまい、苗がよく育たなかった苦い経験があります。ふかふかしたベッドをバラに作ってあげる気持ちで作業を行いましょう。

ブルボン系のオールドローズを細めの木のアーチや柵に這わせています。ブルボン系は中輪で香りがよい品種が多く、オールドローズの中では珍しい四季咲き性の品種もあります。

新苗の根が肥料に触れないように注意

掘った穴の底にバケツ1杯ほどの腐葉土もしくは完熟たい肥と、バラ専用の肥料(袋に記載してある分量)を入れ、掘り上げた土の半分~2/3を戻し入れて土と肥料類をよく混ぜます。さらに掘り上げた土を戻し入れ、苗の根に直接肥料類が当たらないようにします。

フランスのブドウ畑の縁に植えられたバラ。諸説ありますが、バラがブドウの病害虫を知らせる役目を果たすとも言われ、フランスだけでなく日本の山梨県でも見られる情景です。

苗の根元の接ぎ木の部分が少し地表から出るように高さを調節しながら、苗を穴の中央にそっと置きます。高さは掘り上げた土を苗の下に入れながら調整します。

植え終わったら土を軽く手で押さえます。苗の周囲30㎝ほどの所に軽く土を盛って水が周囲に流れ出ないための水鉢を作り、10ℓ(バケツ1杯以上)の水を静かに与えます。
枝が風で倒れないように支柱を立てて結わえ、品種名のラベルもつけておきます。

新苗を鉢に植える方法は次回に説明します。


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