【読み解く】春に気をつけたい「ダニ媒介感染症」 その症状と日常生活における対策とは?

気になる話題を取り上げる「読み解く」のコーナーです。

小林アナウンサー

「今回のテーマは『春に気をつけたい感染症』。鳥取県立中央病院 感染症・総合内科の椋田権吾医師に教えていただきます。感染症、例えばインフルエンザなどは冬場に流行するイメージですが、これからの時期に気を付けたい感染症がありますか?」

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「はい、春と秋に活発になる『ダニ』が媒介する感染症です。具体的には、ツツガムシ病 ・日本紅斑熱・SFTS などがあります」

小林アナウンサー

「それぞれどういった症状があるんでしょうか?」

■ ダニ媒介感染症の症状とは?

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「共通している初期症状としては発熱、頭痛、全身の倦怠感。ツツガムシ病と日本紅斑熱には紅い斑点が現れます。SFTSは、これらに加えて下痢・おう吐といった消化器症状や意識障害が出る場合もあります。いずれも治療が遅れると重症化・死亡することもあります」

小林アナウンサー

「発熱、頭痛など、風邪に似たような症状なんですね」

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「そのため、気づきにくいのが特徴で、ダニにかまれた認識がなく『なんだか体調が悪くて…』と病院に来られる方がほとんどです」

小林アナウンサー

「なかなか気づけない中で、日常生活ではどのようなことに気をつけたらいいのでしょうか?」

■日常生活においてのダニ対策は?

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「ダニが多く生息しているのは草むらややぶです。そうしたところに入る場合には長袖・長ズボン・帽子・手袋を着用して首にタオルを巻き、肌の露出を少なくすることが大切です。シャツの裾はズボンの中、ズボンの裾は靴下・靴の長靴の中に入れて隙間も作らないようにしましょう。服は、ダニを確認しやすい明るい色がおすすめです。そして家に帰ったら入浴して、ダニにかまれていないか確認してください。特にわきの下、足の付け根、手首、膝の裏、胸の下、髪の毛の中がポイントです」

■ もしダニにかまれたら?

小林アナウンサー

「もし確認してかまれている!と分かったらどう対処すればいいですか?」

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「ダニ類の多くは、人や動物にとりつくと皮膚にしっかりと口器を突き刺し数日から、長いものでは10日間以上、血を吸います」

小林アナウンサー

「かまれたあと……ではなく、今まさにかんでいる状態のダニを見つけることもあるわけですよね?」

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「はい。そういう場合、無理に引き抜こうとするとダニの一部が皮膚内に残って化膿したり、ダニの体液を逆流させてしまったりする恐れがありますので、皮膚科などの医療機関で処置をしてもらってください。また、ダニにかまれた後、数週間程度は体調の変化に注意をし、発熱などの症状が現れた場合は、医療機関で診察を受けて下さい」

小林アナウンサー

「分かりました。これからの季節はハイキングやキャンプなど外で活動する機会も多くなると思うので皆さん、気を付けましょう。そして、鳥取県立中央病院ではこうした気づきにくい感染症に対処するための、新しい診療科が開設されたんですよね?」

鳥取県立中央病院 椋田権吾 医師

「4月から『感染症・総合内科』を開設しました。感染症は特定臓器の症状が目立たない病気や複数臓器にまたがる症状のため、調べるポイントが絞りにくい病気が多いです。さらに病原体自体も肉眼では見えないものが大半で、感染症の診断・治療は難しいものとなっています。このような見えにくい病気を知識と様々なツールを用いて『見える化』して明確な治療につなげることで、県民の皆さんの健康な人生に貢献できるよう、診療を提供していきます」

小林アナウンサー

「ありがとうございました。ここまで、鳥取県立中央病院感染症・総合内科椋田権吾医師にお話を伺いました」

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