注目を集めるベトナム投資 株価指数は10年で約2倍に…個人で投資するならどんな方法が?

日本もベトナムを重視(表敬訪問のベトナム共産党訪日団を歓迎する麻生太郎自民党副総裁)/(C)日刊ゲンダイ

【マネーの教科書】#57

半導体関連株には、過熱感が見られるものの、生成AIブームなどによって、半導体需要は今後も成長が見込まれている。

年平均10%成長し、2030年には市場規模が1兆米ドルに達するとの予測もある。その中で半導体の生産には、設計から商品化まで多くの企業がかかわっているため、サプライチェーンをどう再構築するかが大きな課題となっている。

半導体を巡っては、新型コロナウイルスの感染拡大や米中摩擦によって半導体不足が深刻化して、多くの産業には当時の苦い経験がある。そこで半導体サプライチェーンを強化するために世界中で投資が進んでいる。

とくに注目を集めているのがベトナムだ。

バイデン米大統領は昨年9月にベトナムの首都ハノイを訪問。ジェトロ(日本貿易振興機構)によると両国は、2国間関係を包括的パートナーシップからベトナム外交上最高位の「包括的戦略パートナーシップ」に格上げしたという。

ベトナムの半導体関連産業や人材の育成面で連携を進め、強靱なサプライチェーン構築を目指す予定だ。となれば投資マネーも集まる可能性がある。ベトナムの代表的な株価指数VNは、過去10年間で約2倍に上昇している。

個人でベトナムに投資を考える場合、どんな方法があるか。SBI証券では現地の証券取引所に上場する個別株へも投資可能だが、ハードルが高い面もある。やはりETF(上場投資信託)や投資信託を利用するのが無難だろう。コストが安いのはETFだが、国内にはベトナムに投資できるETFがないため、海外ETFとなる。ネット証券などで投資可能だが、商品数は限られる上に過去10年の運用実績を見ると上昇していないものが多い。

投資信託はどうか。投信協会の投信検索ライブラリーでチェックすると、3年以上の運用実績のあるベトナム関連の投資信託は12本ある。そのうち、過去3年騰落率のトップは東京海上・ベトナム株式F(年1回決算型)で69.22%。2位も同ファンドの年4回決算型で69.05%だ。3位はT&Dベトナム株式ファンドで68.52%となっている。信託報酬は年1.5%前後で高めに設定されている点には注意が必要だが、少額で投資してみてもいいかもしれない。

(ジャーナリスト・向山勇)

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