人気のドレス色は「黒」パンツスタイルも 進化する結婚式のカタチ キーワードは「多様化」 進む少子化 結婚式需要の広がりに期待

新型コロナが5類に移行してから1年。コロナ禍で苦しんだウェディング業界は、コロナ明けの1年は変化の1年でもありました。結婚式・披露宴の形はコロナ前から大きく変わろうとしています。キーワードは「多様化」です。

「どうもありがとうございました」

3月、山口市にある結婚式場で、リニューアルのお披露目会がありました。去年10月に創業100年を迎えた原田屋が運営する「ララマリー」です。

「開放感」あるアウトドア形式

リニューアルの呼び物は可動式の屋根を備えた屋外パーティー会場です。料理にはバーベキューが用意されました。コロナ禍をきっかけに「開放感」や「ボーダーレス」を求める利用者が多くなっているといいます。

原田屋・原田泰蔵社長
「従来の披露宴会場という枠を一歩出てみるという形ですね。屋外と融合してより幅広くお客様にお祝いの席を提案できるように、そのステージを作るということが主眼にありました。こちらのガーデンを使って、アウトドア形式で、お料理を楽しめたり、雨が降っても全天候型で楽しめると」

コロナ禍を経て変化が加速

新型コロナが5類に移行するまでの3年あまり。会合や人との接触が避けられる風潮が広がり世の中の動きは止まりました。ウェディング業界も苦しみの極みにありました。原田屋でも、オンライン結婚式を取り入れるなど、新しいウェディングの形を模索してきました。

原田社長
「コロナになったときは連日のようにお客さまから延期の電話をいただいて、現場もどうしたらいいか、立ちすくむような日々が続きました」

多くの客は、中止ではなく、延期を選んだということですが、創業以来の大きな打撃を受けました。去年5月、止まっていた世の中が動き出しました。あれから1年、ウエディング業界の変化は加速しているといいます。

原田社長
「変化のスピードは速くなっていると思います。特に少子高齢化の問題であったり、コロナとはまったく別に起きていた流れがコロナによって少し加速してしまったようなところがあるかもしれません」

ドレスのデザイン・カラーも「多様化」

変化のキーワードは、「多様化」です。

ブライダルハウス ハラダヤ・原田恭子さん
「こちらがカラードレスです」

ハラダヤでは、およそ2000着のドレスを取りそろえています。

原田恭子さん
「このように本当にデザイン、カラーもいろいろ幅広くなっています」

人気のドレスの色やデザインは時代とともに変化してきました。以前のカラードレスは、ピンクやブルーなど淡い・柔らかい印象の色が定番でした。コロナ前には、緑やくすみ系の色にも人気が集まっていました。

原田恭子さん

「コロナを経て、傾向というか、ウェディングスタイルも多様化していますけど、ドレスのデザイン、カラーについてもますます多様化が進んでいる気がします。そのひとつがブラックのドレスです」

人気が高まっている色はなんと、黒。ひと昔前では考えられなかった変化です。

原田恭子さん
「『あなた以外、何色にも染まりません』という決意表明のカラーでもあるんです。もともと黒というと、結婚式ではよくないのではないか、と思われがちなんですが、決意表明の色ということで黒という色が再定義されているような気がします」

今、結婚式に関する情報はSNSで集める人が多いそうです。インスタグラムにUPされた黒のドレスが、その新鮮さで注目を集め、人気が出ました。

「自分らしさ表現したい」女性に寄り添う

原田恭子さん
「自分らしさを表現というか、強い思いを、女性が社会に進出じゃないですけど、ますます多様化する中で、ひとりひとりの思いを表現する場としてカラードレスが選ばれるようになってきたんじゃないかなと思いました」

変化はこれだけにとどまりません。パンツスタイルのウェディングドレスです。日本では、まだ普及をしているとは言えませんが海外のドレスのコレクションではよく見られるようになっているといいます。

さらに・・・こちらはペットの衣装。コロナ禍に、「ペットは家族の一員」との意識がより高まったとみられ、前撮りや式を、ペットとともにしたいとの要望が増えました。現在20着ほどのラインナップがあります。

コロナ明け、せきを切ったように変化のスピードを速めるウェディング。少子化が進む中で、その変化はさらに進む可能性もあります。

原田社長
「結婚式の形が、コロナになって今までと違うことができる、という発見もあったように思います。今までよりひょっとしたらパイが広がるかもしれません。そういう思いがあって、今までの結婚式の枠を超えたような、もっと新しい提案ができるように、そして裾野が広がるように、そういう思いを込めて提案をさせてもらいました」

コロナ禍、苦しんだ経験を生かすときがきていると感じています。

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