小金沢昇司さんのお別れの会がしめやかに…山本譲二もうらやんだ“親父”北島三郎との強い絆

小金沢昇司さん(C)日刊ゲンダイ

呼吸不全のため、ことし1月に65歳で亡くなった歌手の小金沢昇司さんをしのび、東京・港区のマリーグラン赤坂で開かれたお別れ会。同じ北島ファミリーの兄弟子、山本譲二(74)は「昇司ほど、親父(北島三郎=87)に叱られ、殴られた弟子はいない。それでも可愛がられた」と涙ながらに挨拶し、すすり泣きが響いたが、本人を知る芸能プロ幹部からはこんな話もあった。

「営業のギャラが、日帰りが難しい遠方まで行ってもサラリーマンの初任給程度だったとか。独立してからは、随分苦労していたなあ」

小金沢さんは北島の愛弟子のひとりで、4年間の付き人を経て1988年にデビュー。「フィニッシュコーワ」のCMに出演し「歌手の小金沢くんが使っているのは」がお茶の間に流れて人気者に。しかし、26年所属した北島音楽事務所から「のれん分け」で「一本立ち(独立)」し、2014年に設立した小金沢経営の芸能プロは21年に倒産してしまう。

「コロナ禍で仕事が大幅に減った上、小金沢が酒気帯び運転で逮捕されて、営業活動停止に追い込まれていた。独立の際は『還暦まであと5年、もうひと踏ん張り』と意気込んでいたが、資金繰りに行き詰まり、5万、10万と借金して回っていた」(前出の芸能プロ幹部)そうだ。

このところ、芸能プロからのタレントの独立が続いている芸能界。旧ジャニーズ事務所から独立したタレントは、何年も業界から干されるという不文律が明るみに出て、公取委からの注意や批判もあって、独立の弊害はなくなったとされる。だが、現実にはまだ「看板」がモノを言う業界だ。

「独立後は仕事が減ったばかりか、ギャラが5分の1から10分の1になってしまっていた。それで地方営業やイベント出演で食いつないでいた。随分、買い叩かれていたよ、足元を見られてね。北島ファミリーだったときのギャラ? ヒトケタ違いますよ」(前出の芸能プロ幹部)

■「親父、一枚いいですかと言えたのは昇司だけ」

事務所倒産の際、負債額は関連会社のものと合わせると計6200万円にのぼると東京商工リサーチは報じた。その北島ファミリーでは、小金沢さんは「次男」と呼ばれていた。「長男」の山本譲二は会場に小金沢さんが北島と並んだ写真などが映し出されると、こう言った。

「ツーショットを見るとね、うらやましかった。親父、一枚いいですかと言えたのは昇司だけ。俺なんか、あまり親父とのツーショット写真がないから」

会場には小林幸子(70)、角川博(70)、新沼謙治(68)ら約300人が集まった。そこに、親父の北島が姿を見せることはなかった。

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