「仮面ライダー」は世界でも負けない!宮内洋&高岩成二&志田音々、昭和・平成・令和と継承する伝統

昭和・平成・令和、豪華3ショット! - 宮内洋&高岩成二&志田音々

「仮面ライダー」生誕50周年を記念して、2022年3月から全国各地を回っている「生誕50周年記念 THE 仮面ライダー展」。開催中の埼玉会場では、“ミスター平成仮面ライダー”の異名を持つスーツアクター・高岩成二と、「仮面ライダーギーツ」で桜井沙羅/仮面ライダーハクビを演じた志田音々がスペシャルアンバサダーを務め、オープニングセレモニーには、「仮面ライダーV3」の主人公・風見志郎を演じた宮内洋がサプライズ登場した。昭和・平成・令和を代表して、3人がインタビューに応じ、50年続くシリーズの伝統や作品への思いを語り合った。(取材・文:編集部・倉本拓弥)

憧れの仮面ライダーV3と共演

埼玉会場オープニングセレモニーの様子

Q:(宮内さんへ)満を持しての「THE 仮面ライダー展」登場となりましたが、会場をご覧になった感想は?

宮内:大勢の仮面ライダーが揃った姿を見て、涙が出ました。オープニングセレモニーでもお話しましたが、仮面ライダーは世界に通ずる。これからも続くだろうし、仮面ライダーは永遠です。

Q:(高岩さんへ)オープニングセレモニーでは、憧れの仮面ライダーV3と一緒にアクションを披露していました。平成仮面ライダーのポーズも、いくつか盛り込まれていましたね。

高岩:僕が5歳ぐらいの頃に「V3」をリアルタイムで観て、その方と同じステージに立ってアクションができるというのは、本当に感慨深くて嬉しかったです。僕も割といろいろな場所で変身ポーズを求められるのですが、やはり身体は覚えているもので、仮面はしてない状態でも、そこに(変身後の)画が重なっているように見えてくると思います。

Q:(志田さんへ)昨年まで「仮面ライダーギーツ」で桜井沙羅を演じて、仮面ライダーハクビにも変身しました。ご自身が仮面ライダーになった心境を改めて教えてください。

志田:変身できると聞いたのは、本編の台本をいただいた時で、その時の喜びを今日も思い出しました。私は毎回、変身ポーズをすると肘の関節がよく「ポキッ」と鳴ってしまって、音声さんに「もう一回!」と言われたりして、それも懐かしい思い出です。

3人と仮面ライダーの出会い

Q:「THE 仮面ライダー展」をご覧になって、印象的な展示物や気になったコーナーはありましたか?

宮内:ハリケーンが展示されていなかったのは残念です。風見志郎の登場は今回が初めてですから……。(次回会場の)鹿児島にはハリケーン持っていってくれ!!

高岩:昭和ライダーのコーナーは興味深かったです。平成ライダーの劇場版の撮影で、昭和ライダーのスーツを着ることがありまして、V3も着させてもらい、ウキウキして記念撮影しました。アクションの話になりますが、V3のスーツでライダーキックの撮影をした時に、胸部の硬質ウレタンが意外と硬くて、膝をたたんで伸ばすキックのはずが、膝をたためなかったことがあります。

宮内:V3は火葬場の煙突のてっぺんまで登って、「トォ!」とジャンプする描写とかもありましたからね。風見志郎は、とにかく高いところが好きなの。あとは、火薬大好き! 僕が(撮影所の)所長に直談判して、「火薬は3倍!」と増やしてもらっていました。

高岩:僕も、爆発は好きです。ただ、セメント爆弾という小包ぐらいの大きさのセメントを足元で爆発させられた時は、さすがに困惑しました……(笑)。今は、CGを駆使して爆発がうまく表現されています。

志田:岩船山とか広い土地では爆破しますが、確かに最小限ではあります。驚いたのは、「ギーツ」で弟の桜井景和/仮面ライダータイクーン(佐藤瑠雅)がジェットコースターのレールの上を走っている最中に爆破していた回(第7話「邂逅VI:ラスボスと缶けり」)。あれは結構ヒヤヒヤしながら観ていました。

Q:初めて「仮面ライダー」をご覧になった時のことを覚えていますか?

宮内:千葉真一先輩と「キイハンター」を撮影していた時に、「今度、仮面ライダーをやる」と聞いたんです。私は当時、仮面ライダーが何か全くわからなかったので、ビデオテープを買って藤岡弘、くんの映像を初めて観て「仮面ライダーってこういうものなのか!」と知りました。

高岩:僕は「V3」が初めて観た仮面ライダーでした。等身大のヒーローにすごく親近感が湧いて、中でもオートバイは憧れでした。ライダー自転車とかも欲しくて、当時買ってもらえなかった記憶があります。

志田:私は「プリキュア」を幼少期によく観ていて、同じ日曜日の朝に放送している「仮面ライダー」も観ていました。当時は子供で、スーツアクターという職業があることは知りませんでしたが、自分が「ギーツ」に出演して、スーツアクターの方のアクションを見て、すごいなぁ! と実感しました。

V3&ハクビの変身ポーズ、「カブト」の“天道ポーズ”誕生秘話

オープニングセレモニーでのV3変身シーン

Q:(宮内さん&志田さんへ)仮面ライダーV3、仮面ライダーハクビの変身ポーズはどのようにして決まったのでしょうか?

宮内:殺陣師が考えたもので、その形は横綱の土俵入りからきています。V3の変身も、最初の頃は「変身、ブイスリー!」で終わっていたのですが、終盤になると「変~身っ、ブイスリャー!」と10倍以上時間をかけるようになって、尺が長くなっていったんです(笑)。「ブイスリャー!」という掛け声は、散々やられて傷だらけの時に「ブイスリャー!」と発したところ、録音部さんがエコーをかけて、「この響きはいいな」ということで、以降は統一されました。

また、怪人が出てきたから、すぐに仮面ライダーに変身するのではダメなんです。ギリギリまでやられて、子供たちをあおるようにして変身する。“やられの美学”といって、僕はとにかく顔に傷をたくさん作りながら、変身ポーズを取っていました。

志田:「ギーツ」に登場する仮面ライダーは、動物がモチーフになっています。ハクビはハクビシンからきているので、ハクビシンのことを調べたりしました。それと、先に変身した人たちの変身ポーズを参考にして、いろいろと考えたのですが、なかなか決まらず……。最終的にはアクション監督と話し合って決めていただきました。また、大好きな妹(志田こはく/「暴太郎ドンブラザーズ」オニシスター役)の変身ポーズもどこかで少し入れたいと思って、匂わせ程度で盛り込んでいます。

Q:(高岩さんへ)各平成ライダーの変身ポーズ決めには、高岩さんも参加されたのでしょうか?

高岩:変身前のポーズはアクション監督が作って、僕は変身後の名乗りの口上の部分を担当していました。主人公のキャラクター像から引っ張り出して、わかりやすいポーズを選んで作る作業でした。

オープニングセレモニーで披露した“天道ポーズ”

Q:オープニングセレモニーで披露していた「仮面ライダーカブト」の“天道ポーズ”もその一つですか?

高岩:僕の前に、水嶋ヒロ(天道総司/仮面ライダーカブト役)が、芝居の中で東京タワーをバックに天を指さすポーズをしていたんです。そしたら、監督から「あのポーズを何とか形にして」と言われて、水嶋の演技をそのままカブトのポーズとして取り入れました。

「変身」と言葉にすれば強くなれる

Q:仮面ライダー変身者&スーツアクターであるみなさんにとって、“変身”とはどんな意味をお持ちですか?

高岩:変身とは「別の自分になれる言葉」です。子供の頃、仮面ライダーごっこで変身とか言いたくなったじゃないですか。変身は言葉にすると、強くなれる気がしますし、すごく不思議な言葉です。

志田:高岩さんの仰る通りで、「変身」と言うだけでテンションが上がります。子供の頃からもそうですし、当時から当たり前に使われていた言葉です。

宮内:変身する前と変身した後の人間は同一人物ですよね。だから、中屋敷哲也(V3のスーツアクター)とは、一緒に写真を撮ったことがない。仮面を持っている時に、絶対に近づかないようにしていました。2ショットは絶対ダメです。

志田:今も同じです! 子供の夢を壊さないように、徹底されていますよね。

Q:「仮面ライダー」ファンに一言ずつメッセージをお願い致します。

宮内:仮面ライダーは世界の方々にも支持していただいております。これほど大勢の仮面ライダーが一堂に会することはまずないので、世界中のみなさん、ぜひお越しください。

高岩:仮面ライダーは、アベンジャーズの一人になってもいいくらいなキャラクター。昭和、平成、令和と長く続いている作品で、海外に負けないヒーローだと思います。「THE 仮面ライダー展」で間近で触れていただけたら嬉しいです。

志田:50周年という長きにわたるシリーズの歴史で、一つの作品に1体の仮面ライダーではなく、すごくたくさんの仮面ライダーたちがいます。みなさんそれぞれ思い入れのあるキャラクターだったり、自分の中の仮面ライダーを胸に秘めて遊びに来てくれたら、老若男女楽しめると思います。ぜひお越しください。

「生誕50周年記念 THE 仮面ライダー展」埼玉会場は5月6日までEJアニメミュージアムにて開催中(休館日:毎週火曜日 但し4月30日は営業)

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