NOと言わずにNOを伝える ふんわり毒舌指南

illustrator/松橋てくてく(asterisk-agency)

「こんな言い方したらカドが立つ?」「怖い人って思われたらどうしよう…」

“NO”を伝える場面では悩みがつきもの。“ふんわり毒舌”でスマートに伝えることで、ノーストレスなやりとりを目指しましょう。

上手な“NO”でよりよい人間関係を

「嫌われるのでは…と考えて“NO”を言えない人が多いようです。そんな対話を続けていては、その場はやり過ごせても、あなたの本音はわかってもらえず、建設的ではないコミュニケーションに。上手に“NO”を伝えることで、誤解を減らしお互いに信頼が生まれ、業務もスムーズに進められるようになります」とコミュニケーションスキル講師の川原礼子さん。そこで、相手別にふんわり“NO”を伝えるテクニックを紹介。新年度の人間関係づくりに役立てて。


教えてくれたのは…

シーストーリーズ 代表取締役 川原礼子さん

2005年、リクルート入社。クレーム対応、責任者対応などを経験。2017年、シーストーリーズを設立し、顧客コミュニケーション指導やリーダー育成を行うコンサルタント・講師として活動中。2023年2月、『気づかいの壁─「気がつくだけの人」を「気が利く人」に変える、たった1つの考え方』(ダイヤモンド社)を出版


【相手の立場別】効果的な“NO”の伝え方

さまざまな立場の人と関わる仕事の場では“NO”の伝え方にも多くの選択肢があります。シティ読者へのアンケートでは、「相手とは反対の意見を言う」(54.7%)、「依頼や誘いを断る」(43.8%)といった場面で苦手と感じている人が多く、「後輩を注意するときパワハラと思われないか気を使う」という声もありました。そこで上司・同僚・後輩など相手別に“NO”を伝えるコツをアドバイス。プライベートな場面への応用編も紹介します。

(アンケートはシティリビングWebで2024/3/5~3/17に実施。有効回答数965)

〔 上司に“NO”を伝えるとき 〕あくまで“クールに淡々と”がポイント

まずは相手の立場に理解を。上司や先輩は、あなたの知らないミッションを任されていることも。重要なのは、感情的にならず、根拠(事実)を具体的に伝えること。事前に根拠など話す内容を考えることで、自身の気持ちを整理し、冷静に伝えられますよ。加えて、自分なりの解決策を提案すれば、“NO”に説得力が生まれます。

シチュエーション

自分にばかり大変な業務が回ってきて不満

ふんわり毒舌

『 事前準備が必要な業務も多いので、チームを組んで対応する体制にしていただけませんか? 』


〔同僚に“NO”を伝えるとき〕「きっぱり+要望」で脱“都合のいい人”

同僚だからこその無理な依頼。引き受けたい気持ちはあっても対応できないときは「無理なの」という意思をきっぱり伝えて。必要以上に気を使うと、相手に「無茶なお願いをした」という認識が生まれず、“都合のいい人”にされてしまう可能性も。次回につながる提案を伝えることで、空気もやわらげつつ、相手の行動にやんわり反省を促して。

シチュエーション

「これ明日までにできる?」と仕事を無茶ぶりされそうに

ふんわり毒舌

『 今日は仕事が詰まっていて難しいの。次回は早めに声をかけてもらえると助かる! 』


〔後輩に“NO”を伝えるとき〕アイメッセージで相手の心のハードルを下げて

注意や苦言を呈するときは、上から目線ではなく、対等な言い方で伝えるのが効果的。「I=私」を主語にして「私は~と思う」と伝える「アイメッセージ」を使うと、強制感を減らしつつ要望を伝えることができます。よりソフトに伝えたいなら、その場にいない第三者を引き合いに出すという手も。

シチュエーション

後輩が、新入社員を指導する言葉遣いがキツくてひやひやする

ふんわり毒舌

『 せっかくよい指導をしているのにもったいないと思っちゃった 』


OFFでも応用

プライベートな場面であっても、“ふんわり毒舌”は有効。これ以上は踏み込んでほしくない、こういうことは困るという思いをきちんと伝え、“線引き”を理解しあうことは、より関係性を深めるきっかけにも。誘いを断る場合も、「誘ってくれたこと」は感謝しつつ、「内容」についてのみ“NO”であることをきちんと伝えれば、気を悪くされる心配はありません。

シチュエーション

遊びに来ると、いつもなかなか帰ってくれない

ふんわり毒舌

『 今日は17時から予定があるけど、それまでならゆっくりしてね! 』


シチュエーション

つねに上から目線であれこれアドバイスしてくる

ふんわり毒舌

『 ありがとう。いっぱいヒントをもらったので、これからは自分で考えてみるよ! 』


“毒舌”なのに嫌われない人になるには?

上手にNOを伝えるためには、まずは自分の気持ちを知っておくことが大切。自分にとって何が不快か、我慢できないことかを把握しておかないと、他人にも適切に伝えることができません。基本的なことですが「目を見て挨拶をする」「名前を呼んで話しかける」といった小さな気遣いを積み重ねて、信頼しあえる関係性を作っておくことも重要です。お互いへのリスペクトがあれば、「NO」を伝えることを恐れる必要はありません。

関連記事:

© 株式会社サンケイリビング新聞社