農作業支援、900人増の3015人 県など連携の事業、23年度実績

 県とJA全農山形、旅行大手JTBが連携して展開する農業労働力支援事業の2023年度実績がまとまった。サクランボの収穫作業などの農作業支援に延べ3015人が参加し、前年度から約900人増えた。県内外から多様な働き手を集めることができた半面、2次交通の確保などが今後の課題としている。

 全農山形によると、県内15JAのうち8JAが参加し、作業内容は水稲関連の各種作業やスイカの収穫、エダマメの出荷調整など多岐にわたった。月別で最も参加者が多かったのは、ラ・フランスの出荷がピークとなった11月の791人。次いでサクランボの収穫期を迎えた6月の687人だった。昨年度は全体で延べ2141人が参加した。

 参加者を居住地別で見ると、県内が2343人で全体の8割近くを占め、県外は672人だった。年代別では60代の1187人が最多となり、20代431人、50代430人と続いた。職業別では主婦・主夫が840人で最も多かった。

 農村交流イベントを織り交ぜた「アグリツアー」の参加者は全体のうち395人だった。旅費負担を前提にしても一定程度のニーズがあることが確認できたという。ただ費用はサクランボ収穫などの作業で3泊2万9千円、7泊6万5千円ほどかかり幅広い参加者の取り込みは難しいという。さらに、宿泊施設から園地への送迎など2次交通の環境整備が不十分とした。

 労働力の確保に関しては、以前はサクランボの時期に人手が集中し、他品目への広がりが課題となっていた。23年度はラ・フランスの作業に多くの働き手が集まるなど、生産現場全体への波及が進んだ。全農山形の担当者は、本年度は延べ5千人の参加を目指しているとし、「繁忙期の労働力不足解消だけではなく、山形ファンの形成にもつながる。関係機関の連携を強化しながら、取り組みを続けたい」と話している。

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