26年春にデスティネーションキャンペーン開催、県とJR東日本

 県とJR東日本は19日、JR6社が展開する大型観光企画「デスティネーションキャンペーン(DC)」を2026年4~6月に本県で開くと発表した。本県での単独開催は11年ぶり5回目で、県はJR各社と連携し、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故から15年の節目に着実に進む復興の現状や自然や食、伝統文化といった本県の魅力を国内外に広く発信する。

 本県が関連するDCは、21年4~9月に東北6県開催となった東北DC以来となる。26年は震災から15年のほか、福島県誕生150年の節目にも当たるため、復興の現状を国内外に発信し、誘客につなげる絶好の機会となる。前年の25年から「プレDC」として観光誘客の取り組みを本格化させ、本番につなげる方針だ。県は翌27年の「アフターDC」も誘致を検討する。

 DC本番では、震災と原発事故からの復興の歩みを発信する県独自の観光施策「ホープツーリズム」を柱の一つに復興の現状を発信する。根強い風評の払拭や震災の記憶の風化防止につなげる考え。また、発酵食品を観光資源に組み込んだ「発酵ツーリズム」、自然体験やスポーツなどの非日常を観光資源として展開する「エクストリームツーリズム」などを通じ、県内の観光資源や観光ルートの発掘と磨き上げを図り、誘客や交流人口拡大を目指す。近く市町村や観光関係者との意見交換を始め、今秋までにプレDCの具体的な内容を固める。DC本番の取り組みは、プレDCを踏まえて検討を進める。

 県によると、県内の観光客入り込み数は東日本大震災で大きく落ち込み、その後は回復傾向が続いてきた。しかし新型コロナウイルス感染症が拡大した20年に再び大きく減少。感染拡大が落ち着いた22年は前年の1.3倍と大きく増えたものの、コロナ前の19年に比べるといまだ8割程度にとどまる。インバウンド(訪日客)の一層の誘客も課題となっている。

 15年春に本県単独で開催した「ふくしまDC」では4~6月の観光客入り込み数が1361万8千人となり、12~14年同時期の平均(1203万7千人)を13%上回る誘客があった。県は、25年のプレDCからの3年間で入り込み数を19年同時期(1574万9千人)を上回る水準にまで増やしたい考えだ。

 同日、福島市でJR東日本の三林宏幸執行役員東北本部長と小川一路執行役員水戸支社長から開催決定通知書を受けた内堀雅雄知事は「福島の宝、魅力的な地域資源を笑顔で楽しんでほしい。福島ファンが増えることを楽しみにしている」と語った。

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