福島第1原発処理水 今年度初回の放出開始 17日程度かけ約7800トン

海底トンネルにつながる下流水槽に流れ込む処理水(東京電力HD提供)

 東京電力は19日午前11時14分、福島第1原発処理水の今年度初回の放出を開始した。放出予定の処理水に含まれる放射性物質トリチウムなどの濃度が国や東電の基準を下回っていることを事前に確認しており、17日程度かけ約7800トンを放出する。

 東電によると、順調に進めば、5月7日に配管内に残った処理水をろ過水で押し流し、放出が完了する。

 今年度はタンク約54基分に当たる計5万4600トンを7回に分けて放出する。処理水に含まれる放射性物質トリチウムの総量は約14兆ベクレルで、昨年度より約9.5兆ベクレル多い。年間上限の22兆ベクレルは下回っている。東電は「昨年度はトリチウム濃度の薄いものから放出したため」としている。

 多核種除去設備(ALPS)で浄化されないトリチウムを国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)を下回るように海水で薄め、海底トンネルを通じて原発の沖合約1キロで放出する。

 原発構内には約133万トンの処理水がタンク約千基に保管されている。

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