カーポートに太陽光パネル スペース有効活用で設置事業者が続々 空港ではメガゾーラー並みの展開

AOKIの店の駐車場に完成した太陽光パネル付きのカーポート(岐阜県可児市)

 駐車場の屋根に太陽光パネルを付けたソーラーカーポートの設置事業者が増え始めた。工場や店の屋根だけでなく、スペースを有効活用してパネルを置ける新たな選択肢として企業に売り込んでいる。

 ウエストエネルギーソリューション(広島市西区)は1月、AOKIホールディングス(横浜市)が運営する長野、岐阜、三重県のスーツ店計3店で、それぞれ13台分の駐車場に出力43キロワットのソーラーカーポートを設置した。

 両面型の太陽光パネルを使って地面に反射した光でも発電するのが特徴で、店の年間使用電力の3、4割を賄う見通し。AOKIは1店舗当たりの二酸化炭素(CO2)の排出量を2030年度に17年度比で半減する目標を掲げるが、パネルを置く場所がない店もある。駐車場に屋根を付け、雨の日に来店しやすくする狙いもある。

 ウエスト社はソーラーカーポートの事業を昨年始め、これまでに関東や中部地方で数件を工事した。高橋正士執行役員は「電気代の削減にもつながり、導入を考える企業は増える」とみる。

 中国電力は22年、法人向けに太陽光パネル付きの車庫の設置事業を始めた。工場や福祉施設からの依頼が目立つという。設置費用を求めない代わりに、車庫がある施設で電気を使ってもらい料金を受け取る。15年の契約期間が終わると設備を無償で譲渡する。

 大規模なタイプもある。広島空港(広島県三原市)では23年11月、約1360台分の平面駐車場の大部分を使って出力2600キロワットのソーラーカーポートの運用が始まった。同空港を運営する広島国際空港(同)の株主でもある三井不動産(東京)が設けた。電気はターミナルビルで使い、空港の施設などで出るCO2を19%減らせるという。

 村田製作所(京都府)は21年までに、子会社で電子部品製造の岡山村田製作所(岡山県瀬戸内市)の駐車場に約1万2千枚、出力2680キロワットの発電パネルを設置した。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)を利用して全量を売電している。

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