ベンチで立ち続け、声を出し続けていた――。藤田譲瑠チマの姿勢こそ、理想的な“リーダー像”だ【U-23アジア杯】

キャプテンの姿勢に心を打たれた。

U-23日本代表は現地4月19日、U-23アジアカップのグループステージ第2節でUAEと対戦し、2-0で快勝。連勝で決勝トーナメント進出を確定させた。

この試合、記者席から戦況を見ていた筆者の視線は時折、日本ベンチに奪われた。それは、大声が何度も何度もスタジアムに響き渡っていたから。見ると、藤田譲瑠チマが席から飛び出し、ピッチに向かって声を張り上げていた。

今大会、キャプテンを務める藤田は、初戦の中国戦(1-0)にフル出場。続くUAE戦はベンチスタートとなり、この日は最後までピッチに立つことはなかったが、ピッチサイドから90分間、選手たちを鼓舞し続けた。

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チームが決定機をモノにできなければ、一緒にプレーしているかのように悔しがり、良いプレーには拍手を送る。アップをしている選手が途中出場のためにベンチに戻ってくれば、真っ先に握手をし、背中を叩く。試合終了までベンチに座ることなく立ち続け、今自分にできる仕事を完璧にこなしていた。

思い返せば、カタールでの日々のトレーニングでも、一番と言っていいほど声を出していたのは藤田。「ナイスボール!」「いいぞ!」とチームを盛り上げる姿が印象的だったが、その姿勢はUAE戦のような自身がプレーしていない場でも変わらず。

この姿こそ、チームを牽引する理想的なリーダー像だと感じた。

取材・文●手塚集斗(サッカーダイジェストWeb編集部)

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