永瀬廉×東京タワーの組み合わせは鉄板 原作&岡田准一とは違う新たな“小島透”に

2001年に初版が刊行された江國香織の長篇恋愛小説『東京タワー』。2005年には岡田准一主演で映画化、2014年には韓国でテレビドラマ化されるなど、今もなお根強い人気を誇る作品だ。

そんな同作が、20年の時を経てドラマ化。4月20日よりテレビ朝日系オシドラサタデーの枠で放送がスタートする。

ドラマ版で主人公の小島透を演じるのは、King & Princeの永瀬廉。意外にも、本作が恋愛ドラマ初主演だ。原作ファン、映画ファン、そしてドラマウォッチャーからも期待が寄せられている。

永瀬が演じる小島透は、板谷由夏演じる20歳以上年の離れた人妻・浅野詩史との美しくも許されない愛に溺れていく。

原作の小島透はクレバーなキャラクター。音楽や文学に囲まれた生活を送っており、どこか“イマドキの大学生”を斜めに見ていそうな印象を受けたのを覚えている。

一方、映画版では、当時24歳だった岡田准一の手により良い意味で青年っぽさが強いキャラクターに。頭がキレる存在ではあるが嫌味っぽさはなく、思いを寄せる詩史のこととなるとやや感情的になる青臭い一面も持ち合わせているように感じた。

今でこそ、肉体派キャラクターが多い岡田だが、2000年代初期を振り返ると普及の名作『木更津キャッツアイ』(TBS系)シリーズや、『タイガー&ドラゴン』(TBS系)などで少々言葉遣いが荒々しく、しかし人情深い熱っぽいキャラクターを演じることが続いていた印象。そんな岡田の魅力も相まって、同級生から見たら大人びているが、大人の女性から見るとまだまだ子どもな一面を持つ“小島透”像が確立されていたように思う。

そんな小島透のバトンを岡田から受け継いだ永瀬だが、情報解禁された際には『東京タワー』が再び蘇ることに対しての喜びと同じくらい、永瀬が小島透を演じることに対する納得の声が多数見受けられた。

なぜ、肯定的な声が多いのか。個人的には永瀬と“東京タワー”そのものの相性の良さも後押ししているのではないかと考える。

というのも、永瀬は2022年に公開された映画『真夜中乙女戦争』において、すでに東京タワーとは“共演”済み。詳細には触れないが、永瀬が東京タワーを覇気なく見つめる表情をスクリーンで観たときに、ぐっと作品の世界観に引き込まれたのを覚えている。そのときの印象もあって、頭の片隅で永瀬と“東京タワー”の組み合わせは間違いないという方程式が成立しているのではないだろうか。

また、永瀬といえば、直近の出演ドラマ『厨房のありす』(日本テレビ系)でもそうだったように、一見何を考えているかがわからないような第一印象から、回を重ねるごとに愛嬌を増していく演技が圧巻だ。今回のドラマにおいても詩史との逢瀬を重ねるたびに、本気で人を愛していくような心の移り変わり、しかしそれが“許されないこと”であるがゆえのもどかしさを繊細に表現してくれるのではないかと期待が高まる。

演じるキャラクターに真摯に取り組み、しっかりと咀嚼してきた永瀬のことだから、きっと原作や映画版に良い意味でひっぱられすぎない小島透を見せてくれることだろう。果たして、永瀬が演じる小島透はいったいどんなキャラクターになるのだろうか。
(文=於ありさ)

© 株式会社blueprint