犬が『失明する病気』5選 危険な症状や手遅れになる前にすべき対処とは

犬が「失明する病気」とは

人間同様、犬も目の病気にかかることがあります。人間の言葉で症状を伝えられないので、飼い主が手遅れになる前に適切な対処をする必要があります。

そこで今回は、犬が「失明する病気」について解説します。いざという時にすみやかに対応できるよう、知識として確認しておきましょう。

1.白内障

白内障は、その名が示す通り、「目が白く濁る」という症状が出る病気です。

目のなかでレンズの役割を果たす水晶体が白く混濁した状態になり、視力が低下して、進行すると失明する恐れがあります。

一度白く濁った水晶体が回復することはなく、発症したら少しでも進行を遅らせる治療を受ける必要があります。進行には数年かかることもあるので、発症時期や対処によって寿命まで視力を維持することもできます。

また、人間の場合、加齢によって発症することが多い病気ですが、犬の場合はどちらかというと若年性の白内障が多く、それは遺伝によるものだと考えられています。

あまりにも早く発症した場合や進行が早い場合などは、外科手術で人工レンズを入れる治療を受けられることもあります。

2.緑内障

緑内障は、眼房水という水が目のなかに溜まりすぎ、眼圧が高くなることで視神経が障害を受ける病気です。視覚が部分的に欠落したり失明したりといった視覚障害のほか、痛みも発生します。

眼圧上昇によって視神経がダメージを受けた場合、回復することはむずかしいので、できるだけ早く眼圧を下げる治療を受けなければなりません。

急激に緑内障の症状が進行した場合は、発症から数時間で失明してしまう恐れがあるので注意が必要です。

3.進行性網膜萎縮症

進行性網膜萎縮症は、目の網膜が徐々に萎縮し光を感知できなくなることで視力が低下し、最終的に失明してしまう病気です。

光を受け取れなくなるため、初期は薄暗い場所で見えにくくなる程度なので、昼間の生活には支障が出ず、飼い主さんも気が付きにくいとされています。

残念ながらこの病気の治療法や予防法は確立されておらず、発見された場合はサプリメントなどで進行を遅らせる対処がとられます。

遺伝性疾患で、チワワやトイ・プードル、ヨークシャー・テリア、ミニチュア・ダックスフンド、シェットランド・シープドック、コリー、アメリカン・コッカー・スパニエルなど、多くの犬種での発症が見られます。

4.網膜剥離

網膜剥離は、目のなかにある網膜が脈絡膜からはがれてしまった状態になる病気で、最終的に失明する恐れがあります。

網膜がはがれることで細胞に栄養が送り込まれず、視神経に異常が発生します。痛みや目の充血など外からわかる症状がないため、発見までに時間がかかりやすく、気がついたときにはかなり進行していることも多いです。

原因は様々ですが、他の病気と併発することも多くあります。白内障や緑内障のような眼疾患だけでなく、糖尿病や高血圧なども網膜剥離の大きな要因になるとされています。

5.脳疾患

犬の失明の原因は、眼疾患ばかりではありません。視神経は脳とも深く関係しているため、脳腫瘍や脳炎、水頭症などの脳疾患の症状として、視力低下や失明が起こることもめずらしくありません。

これらは脳疾患そのものの治療が必要なので、日頃から定期検診を受けるなど健康管理をしっかりおこないましょう。

犬の失明を防ぐためにすべきこと

白内障や緑内障など眼疾患については、遺伝によって発症するものも多いため、日々の関わりで予防するのはむずかしいこともあります。そのため、失明を防ぐためには、眼疾患が発症した場合の早期発見が重要になってきます。

視神経や視覚に異常が起きた場合、多くの場合は突然失明するのではなく、徐々に視力が低下して最終的に失明に至ります。

視力や視界に異常が起きていることに気がつけるように、日頃から愛犬の仕草や行動を観察しておくことが必要です。

目が見えにくくなると、物にぶつかることが増えたり、段差を怖がるようになったり、暗い場所であまり動かなくなったりする様子が見られます。また、痛みが発生している場合は、顔まわりを触られることを嫌がるようになることもあるでしょう。

また、目そのものも状態をチェックすることも大切です。眼球が白く濁っていたり、目が飛び出しているように見えたり、目ヤニや涙が増えたりしている場合も、何らかの異常が起きていることが考えられます。

愛犬の目の様子が少しでもおかしいと感じたら、放置せずに一度獣医師に相談してみてください。眼疾患は進行すると元に戻らないことが多いので、早期発見・早期治療が非常に重要なのです。

また、異常がなくても定期的に動物病院を受診して、健診を受けるようにしましょう。

まとめ

失明は、当然のことながら犬の生活に大きな影響を及ぼす問題です。しかし、様々な病気が原因で失明になる恐れはあり、それは年齢や犬種を問わず考えられます。

失明を防いだり、少しでも進行を遅らせたりするためには、日頃から愛犬の様子をしっかりと観察し、行動の変化に気がつくことが大切です。

日頃からこまめにコミュニケーションやスキンシップをとって、愛犬の健やかな生活を守りましょう。

(獣医師監修:平松育子)

※動画・画像がうまく表示されない場合は「わんちゃんホンポ」サイトにてご覧ください。

© 株式会社ピーネストジャパン