物価高対応やM&A後押し 中小向けの県商工業振興資金、融資要件を改正

山形県庁(資料写真)

 県は本年度、県内中小企業向けに金融機関と連携して融資する県商工業振興資金について、事業者がより借りやすいよう融資要件を改正した。コロナ禍が明けた現状を受け、コスト高騰で収益環境が悪化している企業のほか、県外企業の事業承継やM&A(企業の合併・買収)を検討する企業を後押しする内容。県は「低利で利用しやすい資金。事業の継続や発展に役立ててほしい」とする。

 同資金は県内企業の経営安定や競争力強化に必要な資金を融資し、本県の商工業振興と地域経済活性化に資することが目的。県が金融機関に融資原資の一部を預託し、低利融資を実現している。使途や対象者別に16メニューがあり、融資枠は750億円を確保した。相談・申込窓口は県内に店を置く金融機関。金融機関が審査し、県などの認定を得た上で融資する。

 このうち「地域経済変動対策資金」はコロナの影響を要件から外し、物価高騰の影響を要件に追加した。売り上げは伸びているものの、仕入れ値や原材料価格、電気料金、燃料費の高騰に伴い、利益率低迷に苦慮する事業者が多いことを受け、売上高と売上総利益率の減少に加え、営業利益率の減少も要件にした。

 「事業承継・M&A促進資金」は県内事業の強化と効率化のため、県外事業者をM&Aする場合も融資を認める。新商品や新サービスの提供のほか、集客力向上、販路拡大に使える「産業活性化支援資金」に関しては、やまがたスマイル企業認定制度でゴールドスマイルとダイヤモンドスマイルの認定を受ける事業者以外に、1.5%以上の賃上げを実施した企業も貸付金利を0.2%優遇する。

 問い合わせは県商業振興・経営支援課023(630)2359。

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