NATO、ウクライナに防空システムを追加供与へ

北大西洋条約機構(NATO)のイエンス・ストルテンベルグ事務総長は19日、ウクライナに先進防空システムを追加供与すると明らかにした。ウクライナの要請と、ロシアによる攻撃を受けた対応だと述べている。

事務総長の発表に先立ち、NATOとウクライナはこの日、危機対応の首脳会議を開催した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、都市を守るためには「パトリオット(地対空迎撃ミサイル)か同等の防空システムがあと7基必要だ」と述べていた。

同日には、ロシアのミサイル攻撃により、子ども2人を含む7人が殺されたと、ウクライナ当局は発表している。

ストルテンベルグ事務総長は首脳会議後、「NATO加盟各国の防衛相は、防空システムをを含む軍事支援の拡大・追加供与で合意した」と述べた。

「同盟全体の既存の能力をあらためて特定し、ウクライナに提供できるシステムがあることを確認した」

「間もなく、ウクライナへの新たな防空能力の発表があるだろう」

同氏は、ウクライナに提供可能なパトリオットやその他の先進的な防空システムがNATO諸国に在庫されていると述べた。ただし、具体的な詳細は明らかにしなかった。

ドイツは先週、自国の軍用在庫から3基目のアメリカ製パトリオットをウクライナに供給することを約束した。

ウクライナは現在、いくつかのパトリオット防空システムを保有しているが、ロシアの大規模攻撃から自国の都市を守るには十分ではない。

ゼレンスキー大統領はサミット後、「パトリオットや同様の防空システムがあと7基必要だ。パトリオットは多くの命を救い、状況を一変させることができる。あなた方(NATO)はそのようなシステムを持っている」と語った

同大統領は、以前から強く要求している重要な優先事項をあらためて示した。

ロシアのウクライナ全面侵攻は3年目を迎えたが、第2次世界大戦以来の欧州で最大の地上戦がすぐに終結する兆しは今もない。

ウクライナが危機的な武器不足に直面するなか、ロシア軍は最近、ウクライナ東部でゆっくりとではあるが着実に前進を続けている。

ゼレンスキー氏は最近、ウクライナは劣勢に立たされ、西側の緊急軍事援助がなければ戦争に負ける可能性があると認めた。

ウクライナは、豊富な大砲弾薬を持つはるかに大きな軍事力を持つロシアと戦い続けるために、西側の同盟国、特にアメリカからの先進的な兵器供給に決定的に依存している。

ウクライナ当局は19日、中部ドニプロペトロウスク州にロシアのミサイル攻撃があり、少年少女2人を含む7人が死亡、30人以上が負傷したと発表した。

今週初めには、北部チェルニヒウにも攻撃があり、18人が殺され、数十人がけがをした。

一方ウクライナ空軍は、ウクライナ領内から300キロ離れた地点で、ロシアの戦略爆撃機「Tu-22M3」を撃墜したと発表した。

同機はウクライナへのミサイル攻撃を行った後、最終的にロシアのスタヴロポリ地方に墜落したという。

ウクライナの国防情報当局は、この撃墜は、今年1月に行われたロシアの偵察機「A-50」への攻撃と同様の特別作戦だと説明した。

ウクライナの国防省のキリロ・ブダノフ情報総局長はBBCウクライナに対し、「我々は長い間待ち続け、準備し、そしてついに成功した」と語った。

ウクライナの情報機関関係者は後にBBCに、ロシアの爆撃機は19日、アップデートされた旧ソ連時代の「S-200」防空システムを使って撃墜されたと語った。

未確認の映像では、炎上した飛行機が制御不能になり、地面に落下する様子が映し出されていた。

ロシアの国防省は、爆撃機が「戦闘任務」を遂行した後、技術的な不具合を起こしたと述べている。

スタブロポリの州知事は、パイロット2人は生存が確認されたものの、3人目の乗組員は死亡、救助隊は4人目を探していると説明した。

(英語記事 Ukraine war: Nato pledges more advanced air defences to Kyiv

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