最短8分!北陸新幹線敦賀駅の“乗り換え対策”と新幹線開業後に利用者急増の高速バス そのワケは?

北陸新幹線の敦賀開業から1か月が経ちました。北陸3県が首都圏とダイレクトに結ばれるようになった反面、関西や中京圏からは敦賀駅での乗り換えが発生するようになり、新たな課題となっています。

記者
「今、富山からのつるぎ号が敦賀駅に到着しました。大阪、名古屋方面へ向かう人たちが続々と乗り換えホームへ向かいます」

北陸新幹線の福井県敦賀駅。新幹線や特急列車が到着すると、駅のコンコースは大勢の乗り換え客でごった返します。

記者
Q.乗り換えどうですか?
乗り換え客
「意外と分かりやすい」
記者
Q.荷物あっても大丈夫そう?
乗り換え客
「大丈夫そうです」
「面倒ですね」
「時間的にも厳しいですね。お土産とかも買えなかったので」

北陸新幹線の開業で新たに終着駅となった敦賀駅。しかし、同時に北陸と関西、中京方面への乗り換え駅にもなりました。利便性に疑問を感じている利用者に対し、JR西日本の対策は。

JR西日本金沢支社総務課 片井秀明さん
「1月にシミュレーションを行って、そこで出た課題をもとにハード対策、ソフト対策を強化してきた」

ことし1月に行われたシミュレーションでは、ダイヤ上の乗り換え時間・8分間に間に合わず、急遽、乗り換え改札口の前に特急「サンダーバード」と「しらさぎ」で色分けされた案内表示を新たに設置。また、乗客の動きを分析し新幹線ホームの東京寄りと、特急乗り換えホームの金沢寄りに設置されている2基のエスカレーターを上下1基ずつから2基とも下り専用とし、スムーズに移動できるようにしました。

さらに特急乗り換えホームでは「しらさぎ」と「サンダーバード」の停車位置をずらすことで、乗り換え客が集中しないようにしています。

警備員の案内
「サンダーバードお乗り換えの方、改札出られて青色へお進みください。乗り場33番乗り場になります」

このほかコンコースには警備員を配置して乗客への案内を行うなど、混乱を避ける取り組みを進めています。

あの手この手の敦賀駅の乗り換え案内対策

ここからは3月の開業当日も敦賀駅で取材にあたった淡路記者とお伝えします。敦賀駅の乗り換え対策、あれこれ行われているんですね?

JR西日本では1月に行われた乗り換えシミュレーションの結果をもとに、さまざまな対策を講じてきました。

もともと19通路という乗り換え改札の通路数や26基のエスカレーター、6基の大型エレベーターなど、新幹線の駅舎としては異例の規模の設備が設けられている敦賀駅ですが、

コンコースへの案内表示の設置や、エスカレーターの運転方向の調整、列車の停車位置の変更、ホームやコンコースへの警備員の配置、そして車内やWEBでの乗り換え案内など、様々な面で乗り換えの周知を行っています。

ただ、「サンダーバード」は強風などで迂回運転が行われ、遅れることがありますよね?

滋賀県内の湖西線が強風などで運転見合わせとなった際に、これまでも特急「サンダーバード」は、米原経由で迂回運転することで遅れが発生しましたが、この場合の対応をJRに聞いてみました。

JR西日本金沢支社総務課 片井秀明さん
「敦賀駅からのつるぎ号、新幹線のほうも接続待ちを基本的に行って、極力お客様の事前に取られている指定席とかが変更にならないように配慮している。ただし、どうしても遅れ時分が大きくなってしまうと接続が難しいということになるので、後続列車への変更や、代わりに敦賀の近くに車両基地があるので、そこから新しい列車を準備して臨時で走らせるということもしている」

JR西日本によりますと、おおむね30分程度の遅れまでは敦賀発の「つるぎ」の出発を遅らせる対応とし、それ以上の遅れとなった場合には「サンダーバード」に接続する「つるぎ」の臨時列車を走らせているということで、この1か月の間にも実際に数本が運転されたということでした。

こうした中、いま、ある交通機関の利用者が増えています。

新幹線開業後 利用者急増の名古屋行き高速バス

記者
「北陸新幹線敦賀開業で利用者が増えているのが高速バスです。その理由はなぜでしょう?」

北陸新幹線と競合する高速バス。しかし、以外にも福井駅と名古屋駅を結ぶ路線は、北陸新幹線の開業後、乗客が前の年の同じ時期より約1.4倍に増えているといいます。

福井鉄道 惣宇利健善常務
「乗り換えがなくて、1回座るとそのまま行けるから便利だという声をいただいているのと、(増便の際に)福井発7時を6時発にしているので、ビジネス利用の方が6時始発で乗っていただく方も増えている」

高速バスは福井市と名古屋市のバス会社4社が共同運行していて、2023年の利用者は夏休みや年末年始などを除いて毎月6,000人から8,000人の間で推移していました。こうした中、去年12月には、北陸新幹線の開業を見据えて1日8往復から10往復へ増便。そこには明確な戦略がありました。

福井鉄道 惣宇利健善常務
「やっぱり新幹線開業を睨んで敦賀の乗り換えが発生するので、そこにひとつの勝機があると。4社で協議をしたうえで開業前に12月からスタートしている」
高速バスの乗客
「乗り換えなくちゃいけないから。しらさぎがなくなったから」
記者
Q.やっぱり敦賀までしか「しらさぎ」が来なくなって…
高速バスの乗客
「そうなんです。敦賀での乗り換えが大変じゃないですか。足の悪い夫を連れては乗り換えは無理だと思うんですね。要は関東が優先なんですね。置き去りにされた気がします」
「乗り継ぎが自信なかったから」
記者
Q.これまで名古屋行かれる時は?
高速バスの乗客
「しらさぎ」
記者
Q.今回開業してからは初めて?
高速バスの乗客
「初めてです」
記者
Q.でバスを選ばれた?
高速バスの乗客
「ライブがあって(乗り換えが)間に合わないとイヤなので慎重にバスで行こうと思った」

なぜ高速バスの利用者が増えた?

高速バスの利用者が増えているんですね?

取材した福井鉄道によりますと、福井~名古屋線のことし3月の乗客数は1万2,966人で、去年の同じ時期と比べて約1.4倍に増えています。特に北陸新幹線の開業前の3月1日から15日までが4,626人だったのに対し、3月16日から31日までは8,340人と約1.8倍に急増しています。

そんなに増えているんですね!

また北陸鉄道によりますと、金沢と名古屋を結ぶ高速バスの北陸鉄道が運行する4往復分の乗客数も、新幹線開業前のことし3月9日から15日が約1,000人だったのに対し、3月16日から22日までは約1,500人と、こちらも1.5倍に増えたいうことです。

やはり乗り換えを避けてバスを選ぶ人が多いのでしょうか?

福井鉄道の惣宇利健善常務は、春休み期間中に重なったことが乗客数を押し上げたと話していましたが、利用者の声を聞く限りでは8分という乗り換え時間や敦賀駅での移動への不安を訴える人も多くいました。

このほか時間帯によっては、名古屋へ行く場合に敦賀と米原で2回の乗り換えが発生すること。さらに、新幹線と在来線特急との乗り換え割引制度が廃止され、料金の割高感がより強まったことも影響しているものとみられます。

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