体験型中心、新たな宵宮 維持担い手不足の高照神社(青森県弘前市) 愛着復活願い

ねぷた和紙を使用したうちわ作り体験を楽しむ子どもら

 青森県弘前市の高照神社で19日、体験イベントを中心にした新しいスタイルの宵宮「ネオ宵宮」が開かれた。同神社は維持管理の担い手不足や建物の老朽化などの問題に直面しており、宵宮を通して神社の復活を後押しする狙い。主催者で寺社仏閣お掃除ボランティア「team109」代表の横山椎乃(しいな)さん(33)は「神社の価値を地域内外の人に再認識してもらい、歴史や文化を残したい」と話している。

 弘前藩4代藩主・津軽信政をまつる国指定文化財・高照神社は、江戸時代中期の1712年に建立。3世紀にわたり地元住民らの手で守られてきたが、近年は住民の高齢化が急速に進んでいる。本殿をはじめとする建物全体も老朽化しており、特に傷みの激しい市指定有形文化財「文庫(御宝蔵)」は解体した形での保管を余儀なくされた。

 修繕費は総額約20億円、国や県の補助を受けたとしても、約2千万円は神社側や地域で工面する必要があるという。横山さんは「イベントを通して神社に愛着を抱いてもらえれば、問題解決につながる」と訴える。イベント名には、英語で「新しい」、ギリシャ語で「復活する」の意味を持つ「ネオ」をあてた。

 境内は乗馬体験、棒パン作り、ねぷた和紙を使用したうちわ作り体験などを楽しむ地域住民らでにぎわった。娘と訪れた同市の佐原絢さん(27)は「子どもと楽しめる場所が近くにあるとうれしい。神社が活気づけばいい」と話した。

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