名匠チェン・カイコー作品をTVでイッキ観

映画好きの皆さんはチェン・カイコーという名に、どんな作品を思い浮かべるだろうか。カンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した初期の代表作『さらば、わが愛／覇王別姫』（1993年）が公開30周年を迎え、近年でもワン・バオチャンやアーロン・クオック、チャン・チェンに加えカンフー映画レジェンドも参戦した武侠ファンタジー『道士下山』（2015年）などが日本でも人気を博した。

2021年には特大スケールの戦争映画『1950 鋼の第７中隊』でド肝を抜いたチェン・カイコーだが、日本の観客にとって印象深かったのが、染谷将太や阿部寛らが出演するファンタジックな歴史ミステリー『空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎』（2017年）。原作は夢枕獏の小説「沙門空海唐の国にて鬼と宴す」で、のちにコミカライズもされている。

いわゆる「陰陽師」モノが好きならストンとハマれる世界観だし、あるいはシャーロック・ホームズなど推理モノのファンも美味しくいただける本作。華流ファンは当然のように鑑賞済みとは思うが、半年間におよぶ猛特訓による流暢な中国語セリフを披露する空海役の染谷と、その空海のバディとなる詩人・白楽天を演じるホアン・シュアン、そして色好みの役人・陳雲樵を演じるチン・ハオ、さらにリウ・ハオランやオウ・ハオなどの若手が目に眩しい。

そんな日中合作『空海 KU-KAI』がCS映画専門チャンネル ムービープラスにて、「中国の名匠 チェン・カイコー特集」と題して過去の代表作と併せて一挙放送。『覇王別姫』の4Kリマスター版や『始皇帝暗殺』（1998年）、レスリー・チャン×コン・リー再共演の『花の影』（1996年）をイッキ観するチャンスだ。

『空海 ―KU-KAI― 美しき王妃の謎』

1200年以上前、遣唐使として日本から唐に渡った若き天才僧侶・空海は、詩人・白楽天と交流を深める。その頃、長安の都は権力者が次々と奇妙な死を遂げる怪事件に見舞われていた。空海と白楽天は事件を探るうち、約５０年前に同じく唐に渡ったもう一人の日本人・阿倍仲麻呂の存在を知る。

夢枕獏の原作小説を、染谷将太主演×世界的巨匠チェン・カイコーが圧倒的スケールで映画化。若き天才僧侶・空海が歴史を揺るがす謎に挑む冒険アクション。

『さらば、わが愛／覇王別姫』

貧民や孤児の子供たちが集まる京劇養成所で厳しい訓練を受けながら、兄弟同様に育った２人の少年。やがて成長した小樓は男役、華奢な美青年の蝶衣は女形として「覇王別姫」の人気コンビとなった。蝶衣は幼い頃から小樓に密かな想いを寄せていたが、小樓は娼婦の菊仙と結婚してしまう。

レスリー・チャン主演、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作品。２人の京劇役者の愛憎を、激動の時代と共に描く。【４Ｋをマスターとした２Ｋダウンコンバート放送】

『始皇帝暗殺』

紀元前３世紀、六国が群雄割拠した戦国時代末期の中国。秦王・政は天下統一へ向けて覇業を着々と進行。幼馴染みで政を愛する趙姫は、燕国討伐の口実となる政の偽の暗殺計画を仕組むため、政に恨みを抱く太子・燕丹と燕へ下る。趙姫はそこで希代の暗殺者・荊軻と出会い……。

秦の始皇帝とその命を狙う暗殺者、彼らの愛憎に揺れる趙姫。３人の壮絶な生き様を軸に“始皇帝暗殺”の謎に迫る。

『花の影』

1920年代の上海。有閑マダムをだまして脅迫するジゴロのシャオシェ。彼には富豪のパン家に嫁いだ姉がいるが、少年時代に受けた仕打ちからパン家に恨みを抱いている。そんなある日、ボスから命じられたのは、パン家の一人娘で今は新たな当主となったルーイーを誘惑することだった。

チェン・カイコー監督×レスリー・チャン主演で贈るメロドラマ。1920年代の上海を舞台に、名家をめぐる男女の退廃的な恋愛模様をエキゾチシズムあふれる映像で描く。