2年の不妊治療を経て双子を出産したモデル・武智志穂。稽留流産を経験し不安も…。「妊娠が判明したときは喜び7割、不安3割」

不妊治療をして妊娠したママは、陽性反応が出たあとも気が抜けず、不安にさいなまれることが多いようです。3才の双子の男の子を育てるモデルの武智志穂さんもその一人。当時を振り返り、感じていた気持ちを教えてもらいました。

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4回目の体外受精で双子の男の子を妊娠!

――武智さんは2年の不妊治療の末、4回目の体外受精で妊娠されたそうですね。妊娠判明前に、いつもと違う感覚はありましたか?

武智(敬称略) なかったです。考えないようにしていたというほうが正しいかも…。そのときは妊娠に対する自信が完全になくなっていたんです。それまで移植するたびに予兆めいた体の変化を感じていても、やっぱりダメで…。その繰り返しに何度も傷ついてきました。だから、自分の体の変化に気づいて期待する気持ちにはまったくなれなかったのが正直なところです。

――妊娠が判明したとき、おうちで妊娠検査薬を試しましたか?

武智 いいえ。それも一喜一憂するのが嫌で、自宅ではいっさい検査をしませんでした。妊娠しているかどうかはクリニックに行けば血液検査でわかりますし、当時通っていた先生のことをすごく信頼していたので、家ではしなくていいだろうと。無駄に傷つきたくないという、自己防衛もあったと思います。

――妊娠が判明したときの気持ちは覚えていますか?

武智 もちろん! 昨日のことのように覚えています。とにかくすごくうれしかったです。当時私から先生に無理を言って、初めて受精卵を2つおなかに戻してもらったんですが、検査結果のhCG(胎盤の絨毛組織から分泌されるホルモン)の値も絶対双子だと推測される数値でした。もともと子どもにはきょうだいをつくってあげたいと思っていたので、妊娠反応が出て、しかもそれがどうやら双子で「やった―――!」という気持ちでしたね。

健診では不安なことをとことん聞いていました

武智 ただ、妊娠がわかってうれしい半面、不安もありました。初めての体外受精のときに妊娠12週での稽留流産を経験しているので、どうしても心配になってしまい…。喜び7割、不安3割って感じでした。

――不安は解消されましたか?

武智 不安という意味で言えば解消されることはなく、流産の心配な時期を越えても、出産まで常に何かしらの心配がありました。リスクの高い双子妊娠だったこともあり、早産の可能性なども気になりました…。だから、栄養とか塩分、運動などわりと厳しめに自己管理したり、健診では担当医の先生に何でも聞いたりしました。

――医療スタッフにきちんと相談するのは大事ですね。

武智 はい。私の場合、不妊治療時代もそうでしたが、疑問や不安に感じることは「煙たがられるんじゃ?」と心配になるほど、とことん聞いていました。あと、自分の精神安定剤的な役割として当時、エンジェルサウンズという、おなかの赤ちゃんの心音が聞ける器具を使っていました。きちんと2つの心音が別々に聞こえるんですよ。下にいるほう、多分兄の瑛士のほうはいつもじっとしていたんですけど、上にいる弟の絢士は器具をあてようとすると逃げるんですね。今も似ているところを探すほうが難しい2人ですが、当時から性格の違いが表れていて、おもしろかったです。この胎児時代の心音は大事な思い出なので、ボイスレコーダーに録音して、保存しています。

ほかにも前回流産した妊娠12週以降は「今週も無事に終えられてよかった」という意味を込め、おなかの写真を撮るように。週ごとの成長を収めていくうちに、いろいろな不安はあるものの「子どもたちの生命力を信じてみよう」と思えるようになっていきました。

子育てがこんなに楽しいと思わなかった!

――現在、お子さんは3才ですが、子育てはいかがですか?

武智 本当に楽しいです! 実は私、育児にややネガティブな印象を持っていたんです。楽しいこともあるけど、基本的には我慢や犠牲の上に成り立つものというイメージがありました。だから、今の夫と出会うまでは、自分が母となることにも興味が持てず…。なのに、こんなにおもしろいなんてびっくり! 以前はできなかったことが気づけばできるようになっているなど、2人の成長がとにかく興味深いですし、家族っていいなとふとした瞬間に感じます。ありふれた言葉かもしれませんが、子どもの存在が私の原動力です。

――不妊治療を頑張ってよかったですね。

武智 はい! 途中何度も心が折れそうになりましたが、それがあって今がありますし、乗り越えられてよかったと思います。ただ、私一人が頑張ったわけではなく、夫のサポートや仕事でかかわる方々の協力、話を聞いてくれた友人、不妊治療のクリニックの先生や看護師さんなど、みんなが支えてくれたおかげですね。

――最後に、不妊治療で妊娠した妊婦さんにメッセージをお願いします。

武智 生まれるまでは不安がつきものだと思いますが、まずは、赤ちゃんの生命力を信じてあげてほしいな、と自分自身の当時の状況を振り返って思います。体調管理や食事管理・運動などは大事ですが、あまりナーバスになり過ぎると逆効果だと思うので、無理のない範囲で。
産後は、嵐に巻き込まれたかのような忙しい日々が始まるので、どうか今のうちに映画に行くなり、たっぷり寝るなり、好きなことをしながら、心穏やかに過ごしてください!

写真提供/武智志穂さん 取材・文/江原めぐみ、たまごクラブ編集部

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現在、沖縄在住の武智さん。コロナ禍の、産後間もない時期に移住の決断ができたのも「2人の存在があったから。いつも子どもたちが私の背中を押してくれます!」と語ってくれました。治療を終えたばかりで不安な妊婦さんもおなかの赤ちゃんとの明るい未来を信じ、一日一日を積み重ねていってくださいね。

参考/『初めてのたまごクラブ』2024年春号「不妊治療を経ての妊娠」

●記事の内容は2024年2月の情報で、現在と異なる場合があります。

武智志穂さん

Profile
1985年生まれ。大阪府出身。ファッション誌を中心にモデルとして活躍。商品プロデュースなども手がけ、幅広く活躍。2020年に出産。現在、沖縄在住。

武智志穂さんInstagram

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