スポーティだけど“eバイク”じゃない!? ヤマハの新型『PAS CRAIG』に乗ってわかったブレない"ちょうど良さ"

ヤマハ PAS CRAIG

ヤマハ発動機(以下ヤマハ)からシンプルかつ洗練されたデザインの電動アシスト自転車『PAS CRAIG(パス・クレイグ)』が2024年3月29日に発売。普段使いに最適な機能とデザイン、そして手に入れやすい価格を実現した「ちょうどよさ」が特長の最新モデルだ。

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ヤマハといえば、世界で初めて電動アシスト自転車を生み出し、現在まで続くeバイクのマーケットを作り出したブランド。近ごろはグラベルモデル『WABASH RT』やクロスバイクモデル『CROSSCORE RC』をリリースし、軽快さやパワフルさといった自転車の楽しさを前面に押し出したeバイクのイメージも強く押し出している。

しかしこのクレイグはeバイクではなく「電動アシスト自転車」として作られたものだという。eバイクと電動アシスト自転車の違いについては色々な意見があると思うが、大筋では「eバイク=スポーツバイク」、「電動アシスト自転車=実用車」というところ。

このクレイグのコンセプトは“Urban Outrunner”。通勤や通学で使用する男性をターゲットとし、街で使用する際のさまざまなシーンにフィットする機能を取り入れている。

◆普段乗りの中でスポーツ“も”楽しむバイク

まず目につくのが丸型のスチール製パイプフレーム。細身&オールドスクールなロードバイクを想像させるデザインとすることで、"実用車"というイメージからは遠いおしゃれな印象になっている。3色あるフレームカラーも「マットグレイッシュベージュ」、「マットジェットブラック」、「マットラベンダー」とラインナップされ、マット系のカラーは品の良さを醸している。

このフレームにはほとんどメンテナンスがいらない内装3段変速をセットし、さらにブラックアウトしたチェーンガード、後輪には小ぶりなマットガード、ワイヤー錠などを装備。いずれも実用性重視のアイテムだが、しっかりとデザインが考えられているため、オシャレさを感じさせる仕上がりになっている。

前輪のフェンダーがついていないのは「クレイグのユーザーは雨の日にあまり乗らない」からだとか。ついつい実用車だと、あれもこれも取り付けてごちゃごちゃしてしまうこともあるが、この思い切りの良い決断によってすっきりとしたスタイルを成立させている。

もちろん走りのスペックも十分。電動ユニットのスペックはエコモードで70km、スマートパワーモードで40km、強モードで36km。近ごろのハイスペックなeバイクを見てしまうと、少し物足りなくも感じるが、あくまでもクレイグは自宅近くを走る自転車。普段乗りの中でスポーツ“も”楽しむバイクなので、このあたりのスペックも“ちょうどいい”というコンセプトからは外れていない。

◆値段、走り、デザイン…ブレなくちょうどいい

やはりヤマハといえば、どうしても『YPJシリーズ』のようなスポーティでハイスペックなものをイメージしてしまうが、現実的なところを考えれば、実はこのクレイグのようなバイクがしっくりくる。13万円を切る価格(税込12万9000円)で手に入れやすいし、気兼ねなく使いやすい。

「eバイクは欲しいけどあまりに高い」なんて思っているユーザーも多数いる、そんな意見も汲みとってその層にグサグサ刺さる自転車に仕上げている。各eバイクブランドからパーツ構成を整理した価格を下げたモデルが出ていることからも、このあたりの価格帯の自転車を求める多くのユーザーがいることが分かる。

「デザイン性も実用性も」と両方を追っかけると、どこか中途半端になりがちだが、そこは電動アシスト自転車を生み出したヤマハ。ブレなくしっかりまとめているそんな印象だ。このクレイグはPASシリーズとしてリリースされてはいるが、新しいPASシリーズといった出で立ち。

新生活を迎えた通勤・通学、休日の近所の買いもの、見た目以上に走りも行けるのでちょっとした遠出など、晴れた日にふらっと出かけたくなる…そんな電動アシスト自転車だ。

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