ようこそ“耐久レース界のモナコ”へ/新プジョー9X8『190キロ』の効能/失職した選手がメディアにetc.【WECイモラ金曜Topics】

 4月19日、イタリアのイモラ・サーキットでWEC世界耐久選手権第2戦『イモラ6時間レース』のレースウイークが始まった。走行初日は2回のフリープラクティスが行われ、フェラーリAFコルセの50号車フェラーリ499Pをドライブするアントニオ・フォコが最速タイムを記録した。

 また今季より新設されたLMGT3カテゴリーでは、TFスポーツ81号車シボレー・コルベットZ06 GT3.Rのチャーリー・イーストウッドがトップタイムを記録している。

 そんな金曜日のイモラのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■コールドタイヤに苦闘

 フェラーリのレース&テストチームマネジャーのジュリアーノ・サルヴィは、アウトドローモ・インテルナツィオナーレ・エンツォ・エ・ディーノ・フェラーリ(イモラ・サーキット)を「耐久レース界のモナコ」と表現した。

「これは非常に正確な説明だと思う。トラックポジションは非常に重要で、一部のセクションは非常に狭く、追い越しは非常に困難になるからだ」

 サルヴィはまた、高速コーナーが少ないため、イモラではタイヤのウォームアップが難しいだろうと予測している。

「ブレーキングとトラクションゾーンがたくさんあるトラックだが、タイヤに注がれるエネルギーはそれほど大きくない。タイヤにとって厳しいコースではないので、タイヤを作動領域に入れるのに苦労している。タイヤを正しいウインドウに収めることは、特にピットストップ後において非常に重要になる」

 なお、トップタイムを記録したフォコは、今年のスケジュールではモンツァの代わりにイモラが設定されたものの、今後のWECイタリア大会の開催地について強いこだわりはないと語っている。

「僕が気に入っているのは、WECがイタリアを訪問すること。だから、僕にとってはイモラでもモンツァでも違いはない。どちらも非常に歴史的なトラックであり、特別なものだ」とフォコは述べている。

■イモラのコーナーではフロント駆動は活かせない?

 ハーツ・チーム・JOTAの共同オーナーであるサム・ヒグネットは、チームの12号車ポルシェ963が来月のスパでのシーズン第3戦にカラム・アイロットとウィル・スティーブンスからなる2名のドライバーラインアップで挑むことを認めた。もうひとりのレギュラー、ノルマン・ナトは同週末にベルリンで行われるフォーミュラEへと参戦する。

 ベルリンのフォーミュラEを欠場してWECスパに参戦する予定の4名のドライバー(トヨタのセバスチャン・ブエミとニック・デ・フリース、BMWチーム WRTのロビン・フラインス、プジョーのニコ・ミューラー)は、土曜日決勝となるスパでのレース後すぐにドイツの首都に向かう予定だ。ただし、彼らは日曜日のフォーミュラEのレースには参加できない。

 ミューラーは、他のLMH(ル・マン・ハイパーカー)メーカーと同様に、イモラ向けのBoPでプジョーのハイブリッド展開速度が190km/hに引き上げられたことは、改良型9X8がデビューする今週末の見通しに大きな違いは生じないと考えている。

「場所によっては(展開速度が遅いと)プラスになることもあるけど、ここではそれを考える必要はない。四輪駆動状態になるコーナーは基本的にないからだ。スパでは、フロントからのデプロイで走れるコーナーがいくつかあり、190km/hに達するコーナーもいくつかあるので、おそらくそこでより良いストーリーが得られるだろう」

リヤウイングが新たに設けられた改良型プジョー9X8 2024WEC第2戦イモラ

■メディアセンターの意外な新顔

 元WECドライバーのガブリエル・オーブリーは、今週末のレースに向けてメディアセンターに拠点を置いている。 このフランス人ドライバーは、フェリペ・ドルゴヴィッチを優先したベクター・スポーツからELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズのシートを土壇場で外され、今シーズンの出場機会を失っている。

 オーブリーはフランスの放送局レキップTVでWEC開幕戦カタール1812kmの解説者を務めており、ル・マン24時間レースでも同局の役割で現場に立つ予定だ。

 彼はSportscar365に対し、ベクター・スポーツからの予期せぬ解雇を受けて、より経済的な安定を得るために、将来はドライバーとメディアの両方で働きたいと語っている。

ガブリエル・オーブリー(写真は2023年)

■ニュージーランドからの訃報

 ニュージーランドの実業家で慈善家のサー・コリン・ギルトラップが水曜日、84歳で死去した。ギルトラップの資金提供は、現在のWECスター選手であるブレンドン・ハートレーやアール・バンバーを含む、長年にわたり多くのニュージーランド出身ドライバーのキャリアをスタートさせることに貢献した。

1989年、ニュージーランド出身のブレンドン・ハートレー(トヨタGAZOO Racing)

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地元イタリアのフェラーリ、ランボルギーニからの参戦車両 2024WEC第2戦イモラ
WECが発行しているイモラ・サーキットのコース図
木曜に行われたイモラ市内でのイベントに姿を見せた平川亮
ハーツ・チーム・JOTAの12号車ポルシェ963 2024WEC第2戦イモラ

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