【F1】中国GPの火災原因特定できず メタンガス漏れ説浮上で再発危険性も

中国GPが行われる上海サーキット(ロイター)

F1中国グランプリ(GP、20日=スプリント、21日=決勝)で初日の19日に2度にわたって発生した火災の原因が特定できず、不安が広がっている。

火災は19日のフリー走行中にコース上で発生。その後のスプリント予選で再び起きて懸念が高まっている。

大会を主催するF1や国際自動車連盟(FIA)はすぐに調査に乗り出したが、いまだ原因が特定できていない。英メディア「オートスポーツ」は「上海F1の火災の謎は残る。ターン7での度重なる草火災について夜通し調査したが、原因についての答えが得られず、F1首脳陣は頭を悩ませている」と報じた。

FIAは前夜にスタッフを急きょ現地に派遣し、問題の原因分析を実施。しかし「明確な結論は出ていない」と困惑が広がっている。

同メディアは「火の粉が草むらに飛び散り、火災が引き起こされているのは確かなようだが、何がそんなに燃えているのかがつかめていない。芝生の上には可燃性物質や化学物質が存在した形跡はないと理解されており、おそらく週末までの作業中に何らかのものがそこに捨てられた可能性もある」と指摘。F1では火花が飛び散ることは想定されているが、火災に至った原因物質が特定できていないのだ。

可燃性の原因物質について同メディアは「火災は地面から浸透したメタンガスによって引き起こされ、その後引火したという説がある」と報道。「上海サーキットは沼地の上に建設されており、ガスが溜まる原因となる可能性がある。また、会場の下にもさまざまな配管が通っているようで、ひび割れが発生してそこから漏れ出した可能性もある」と推測した。つまり、コース下から発生したメタンガスに引火したというのだ。

ただ、この説も明確な証拠はなく「何が起こっているのかという謎はさらに深まった」。火災原因に対処できなければ、当然再発の危険性は高い。

そこでFIAは火災の発生を想定して対処する方針に。「昨日のセッションで草火事が発生した理由はまだ不明だが、トラック活動に先立って予防措置を講じている。私たちは被災エリアの芝生に水をまき、ターン7に緊急火災対応チームを待機させる」とFIAは発表。火災が発生した際に素早く対処できる体制を整えた。

ただ、もしメタンガスが原因でそれが充満すれば爆発を引き起こす危険性もある。コースを走るドライバーたちの安全は確保できるのか、不安は高まるばかりだ。

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