ロングビーチ市街地で『クラッシュしたのにポール獲得』の珍事。素早いコース復帰には“伏線”も/IMSA

 4月19日、アメリカ・カリフォルニア州のロングビーチ市街地で行われたIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の第3戦予選で、珍しい事態が発生した。アクション・エクスプレス・レーシングの31号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブするピポ・デラーニは、最速ラップを記録したのちにマシンをバリアにクラッシュさせたものの、ポールポジションを獲得している。

 デラーニは、ウォールに囲まれたこのコースで1分11秒388のベストタイムを記録し、終盤にアタックしたBMWチーム RLL25号車BMW Mハイブリッド V8のニック・イエローリーをわずか0.009差で退けた。

■「赤旗を出す時間はなかったと思う」

 デラーニの31号車にはセッション終盤、ドラマがあった。タイヤをロックさせてターン8のタイヤバリアへと、ノーズをクラッシュさせたのだ。しかしながら彼はすぐにコースへと復帰し、ピットにマシンを向けている。

 このインシデントでは赤旗が提示されなかったことで、デラーニはそれ以前にマークしていた最速タイムをキープすることができ、ロングビーチに初参戦するジャック・エイトケンとともに、ポールポジションを確かなものとした。

 予選後、デラーニはターン8でのクラッシュによって赤旗が提示され、スポーティング規則によりタイムが抹消されることを心配してはいなかった、と語っている。

「すぐにギヤをリバースに入れて復帰することができたので、正直それは心配していなかった」とデラーニ。これには、伏線もあったという。

「面白いことに、(イベント前に)トラックウォークをしているときに、僕らはちょうどその話をしていたんだ。『ギヤをリバースに入れる方法、分かってるよね?』って。それは簡単なテストだったので僕はすぐに答えを言うと、チームも『いいね』という感じだった」

「僕は真っ直ぐ行ってしまったけど、すぐにリバースに入れ、コースへと戻ったので、誰かが赤旗を提示する時間はなかったと思う」

 マシンの損傷は、左フロント部分のみだった。これにより、デラーニにとって今シーズンのウェザーテック選手権における3回連続のポールポジションが確定している。

 なお、今回のIMSA第3戦は、GTPとGTDの2クラス構成で行われている。GTDクラスでは、今回ドライバー編成を変更して2台を同クラスに送り込んでいるバッサー・サリバンのレクサスRC F GT3が、フロントロウをロックアウトしている。

GTDクラスのポールポジションを獲得したバッサー・サリバン89号車レクサスRC F GT3のパーカー・トンプソン

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