部活動地域移行 開成・大井の一部で開始 自治体間で方針の違いも 南足柄市・大井町・松田町・山北町・開成町

今年度から開成町と大井町の中学校の一部の部活で、休日に教員の代わりにスポーツクラブのコーチなどが指導に当たる「地域移行」が始まっている。国は2023度からの3年間を改革推進期間と定め、各市町村の実情に合わせた移行を目指しており、本紙足柄版発行エリア内でも進ちょくに違いが見られた。

中学校教員の負担軽減や生徒が文化・スポーツに触れる機会の確保などのメリットがある部活動の地域移行。開成町の文命中学校では今月から、サッカー部と吹奏楽部で地域移行をスタートさせた。地域の総合型スポーツクラブが専門のコーチを派遣する形。平日と休日の活動の接続が円滑になるよう、月に一度顧問とコーチ間で部員の情報共有も行っている。

大井町でも陸上部と男女バレー部、女子バスケ部の地域移行が始まった。指導者が確保できた部活から順次移行を進めていく予定。

山北町と松田町では昨年度、協議会が発足。山北町は移行目標の基準となる26年度に中学3年生になる川村小学校児童と保護者にアンケートを実施。ニーズや課題の把握を行なったものの、具体的な方針については未定となっている。

松田町は総合型地域スポーツクラブへ委託する方針は決まっているが、部員のけがなどの責任問題や指導者の確保の問題が課題として残っており移行は進んでいない。

町担当者は、松田中学校は生徒数の減少の影響でバスケ部や野球部はすでに廃部になっていることもあり、学校という身近な場所で運動や文化を経験できることに意義を感じつつも「近年、チーム競技ではそもそも部員が確保できず、部の維持が困難になっている。広域の連携等も必要かもしれない」と語る。

足柄上エリアではコーチ派遣型が多いが、南足柄市では市内の中学校3校の各部員が一カ所に集まり指導を受ける形式を目指している。

この形であれば各部活に対し1団体の指導者がいれば3校分の移行が可能。生徒にとっては自校に無い部活動に参加できる可能性もある。3月の日曜日に市が卓球とバスケで試験的に行なった際も多くの参加があった。同市の担当者は持続可能な仕組みでの地域移行が重要だとし「たまたま見てくれる人に任せるのではなく、地元の協会やスポーツ教室の指導者など長期的に指導していただく体制ができた部活から順次移行していきたい」と話す。

専門コーチの指導を受ける吹奏楽部=開成町の文命中

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