子どもにジェネリック医薬品をのませても大丈夫?気になる安全性やメリットを薬剤師が解説

子どもが病院にかかったとき、ジェネリック医薬品をのませてもいいのか迷ったことはありませんか。とくに子どもがのむ場合は、安全性が気になるママやパパも多いはず。今回は、ジェネリック医薬品の安全性やメリットについて薬剤師が解説します。

ジェネリック医薬品は安全なの?

ジェネリック医薬品は、「品質」「有効性」「安全性」が先発医薬品と同等であると認められた医薬品のことを指します。

ジェネリック医薬品の使用をためらう主な理由は、効き目への不安や副作用への心配が挙げられますが、上記の理由からこれらを心配する必要はありません。

しかし、実際には大人と比べて、子どものジェネリック医薬品の利用率が低いことがわかっています。

2019年に東京都が行ったジェネリック医薬品の使用経験の調査によると、ジェネリック医薬品を使用したことがない割合は、10歳未満の子どもの場合9.1%と、全年代の平均4.7%を大きく上回っていました。(※1)

ジェネリック医薬品は効果や安全性が認められているだけではなく、子どもがのみやすいように改良されたものもあるため、子どもの薬の選択肢を広げることができます。

子どもの薬をジェネリック医薬品にするメリット

ここからは、子どもの薬にジェネリック医薬品を選ぶ2つのメリットを解説します。

のみやすいように改良されている

多くのジェネリック医薬品では、子どもが薬をのみやすいよう、味や形状に工夫がみられます。先発医薬品と同等の品質や有効性、安全性が認められたうえで、甘味のあるシロップタイプや小さくてのみやすい錠剤などの改良が加えられているのです。

苦味や薬の形状が原因ののみにくさを軽減してくれるため、子どもたちにとっても、先発医薬品より抵抗なく薬をのめる可能性があります。

薬代の節約になる

ジェネリック医薬品の大きなメリットのひとつは、薬代の安さです。先発医薬品に比べて安価であるため、同じ効果を得ながら薬代を抑えることができます。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同じ有効成分を使用するため開発期間と費用を抑えられており、先発医薬品より安価で購入できるのです。とくに、定期的に通院して薬をのんでいる場合には、ジェネリック医薬品を選択することで、薬代を大きく節約できるでしょう。

子どもの場合、自治体の補助によって薬代がほとんどかからないこともありますが、医療費自体はタダではなく、国民の医療費が増えるほど補助制度を維持するための負担も増加します。ジェネリック医薬品にして医療費を抑えることが、医療費全体の削減になり、補助制度を守ることにもつながります。

ジェネリック医薬品に変更する方法

ジェネリック医薬品へ変更したい場合には、担当の医師や薬剤師に相談することが重要です。処方箋に「変更不可」と記載されていなければ、多くの場合ジェネリック医薬品へ変更できます。子どもの健康状態や治療方針をふまえて、検討してもらえるでしょう。

ジェネリック医薬品を利用する際の注意点

ジェネリック医薬品を利用する際には、いくつか注意すべき点があります。

まず、希望する先発医薬品のジェネリック医薬品があるとは限りません。ジェネリック医薬品は、先発医薬品が開発されてから再審査期間や特許期間終了後に発売されるものです。

一般的に、ジェネリック薬品が開発されるのは、先発医薬品が開発されてから20〜25年後であるため、この期間が経過していない薬に対しては、ジェネリック医薬品自体がありません。

また、ジェネリック医薬品がある薬でも、治療方針やアレルギーの有無などによっては変更できない場合もあります。

そのため、ジェネリック医薬品は自己判断で利用しないことが大切です。必ず医師や薬剤師に事前に相談したうえで利用しましょう。

医師や薬剤師と相談して子どもに最適な薬を選ぼう

今回は、ジェネリック医薬品の安全性やメリットをご紹介しました。

ジェネリック医薬品は、先発医薬品と同等の安全性と有効性が認められており、薬代を節約することができます。さらに、子どもがのみやすいように味や形状が改良された製品もあり、子どもの薬に対する苦手意識も軽減できる可能性があります。

しかし、ジェネリック医薬品が開発されていない薬や、治療方針でジェネリック医薬品を利用できない場合もあるため、検討する際には医師や薬剤師との相談が重要です。子どもの健康を第一に、ジェネリック医薬品も選択肢のひとつに加えてみてください。

<参考文献>
※1 東京都福祉保健局「後発医薬品(ジェネリック医薬品)に関するアンケート結果」

あんしん漢方薬剤師 山形 ゆかり

薬剤師・薬膳アドバイザー・フードコーディネーター。病院薬剤師として在勤中、食養生の大切さに気付き薬膳の道へ入り、牛角・吉野家他薬膳レストラン等15社以上のメニュー開発にも携わる。「健康は食から」をモットーに健康・美容情報を発信するMedical Health -メディヘルス-Youtubeチャンネルで簡単薬膳レシピ動画を公開するなど精力的に活動している。症状・体質に合ったパーソナルな漢方をスマホ一つで相談、症状緩和と根本改善を目指すオンラインAI漢方「あんしん漢方」でも薬剤師としてサポートを行う。
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