「徹底的に負ける要素を排除した洗練された戦術」鄭大世が“古巣”FC町田ゼルビアのサッカーを評価。「優勝する」と大胆宣言も

昨季、元Jリーガーの鄭大世氏はJ2で戦う“古巣”FC町田ゼルビアのパフォーマンスを見て「このサッカーは夏無理だろう」と思ったという。何より走力が求められ、ハイプレスを怠らない。真夏には“しんどいスタイル”でJ1昇格を果たすのは不可能だろうと否定的に考えていたのだ。

しかし、得点源のエリキをシーズン途中に怪我で失いながらも結果は堂々のJ2制覇。鄭大世氏曰く「剥がされるのを承知で必ず行くプレスが勝因」だった。

今季J1、鄭大世氏は2節の名古屋グランパス戦を前に「(町田は)J1の洗礼を浴びるだろう」と予想していた。「名古屋は経済的に豊かで個がしっかりした選手を獲得している印象なので、そう思いましたが」(鄭大世)、結果は町田の勝利(1-0)だった。

そんな鄭大世氏は「これ優勝するな」と町田のJ1制覇を大胆宣言したのが続く鹿島アントラーズ戦。「(当時は)鹿島で止められないならどこもダメかなと思って見ていたら、鹿島はほとんどチャンスを作れなかった」(鄭大世)。

キック&ラッシュに近い町田の戦い方を、鄭大世氏は「ビルドアップでミスが起きないからショートカウンターを受けない」と評価している。

「相手の陣地でプレッシャーをかける時も前2枚で追って、ボランチはなかなか出てこない。それを最後までやるためにメンバーを(試合途中に)代えるし、後ろの4-4のブロックは絶対に崩さない」

鄭大世氏は黒田剛監督のことを「絶対に負けられない試合を何十年もやってきた指揮官」と評する。

「(今の町田は)青森山田高のサッカーをしている。徹底的に負ける要素を排除した洗練された戦術」

J1の8試合を終えて5勝1分2敗の3位。直近のリーグ戦でヴィッセル神戸に敗れたとはいえ、序盤戦の快進撃は決してフロックではない。

構成●サッカーダイジェストTV編集部

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