ウルブズのエドワーズが“近い将来”のベストプレーヤー入りに自信「まだ全盛期に触れてさえいないよ」<DUNKSHOOT>

ミネソタ・ティンバーウルブズは今季、56勝26敗(勝率68.3%)という好成績を残してウエスタン・カンファレンス3位でレギュラーシーズンを終え、3年連続のプレーオフ出場を決めた。

この戦績は2003-04シーズンの58勝24敗(勝率70.7%)に次ぐフランチャイズ歴代2位。ケビン・ガーネット、サム・キャセール、ラトレル・スプリーウェルらを擁した当時のウルブズは、プレーオフで球団史上唯一のカンファレンス・ファイナル進出を果たしている。

クリス・フィンチHC(ヘッドコーチ)が指揮を執る今季のチームは、カール・アンソニー・タウンズやルディ・ゴベア、マイク・コンリー、ジェイデン・マクダニエルズ、ナズ・リードといった実力者を揃えるが、エースを務めるのは22歳の若きスター、アンソニー・エドワーズだ。

193cm・102kgの屈強な肉体に抜群のバネとフットワーク、スキルを兼備する男は、キャリア4年目の今季79試合に出場し、平均25.9点、5.4リバウンド、5.1アシスト、1.28スティールをマーク。2年連続でオールスター入りを果たした。
過去2年のプレーオフで、ウルブズはいずれもファーストラウンド敗退ながら、エドワーズは計11試合で平均28.1点、4.5リバウンド、4.0アシストを記録。昨年の1回戦ではデンバー・ナゲッツ相手にシリーズ平均31.6点、5.0リバウンド、5.2アシストと爆発して王者を苦しめたことは記憶に新しい。

そんな新世代のスターは、まだまだ遥か高みを目指しているようだ。

4月18日に公開された米スポーツ専門局『ESPN』の番組『NBA Today』に出演したエドワーズは、マリカ・アンドリューズ記者とのトークで自身の立ち位置について“40%にすぎない”と語っている。

「まだ4年目なんだ。僕が22歳であることをみんな忘れていると思う。僕はまだ自分の全盛期に触れてさえいないよ」

そこで『ESPN』のアナリストを務めるオースティン・リバースは、エドワーズがこの2、3年のうちにリーグのベストプレーヤーになれると持論を述べると、エドワーズ自身も「そうだね。彼の意見に100%同意するよ。あと2、3年くらいだ」と自信を見せていた。 エドワーズにとって貴重な経験になったのは、昨夏のFIBAワールドカップだろう。アメリカ代表の得点源としてチームトップの平均18.9点に4.6リバウンド、2.8アシスト、1.13スティールと活躍。アメリカは4位に終わったものの、個人としては大会ベスト5に選ばれた。

今月17日にはUSAバスケットボールが今夏のパリオリンピックに出場するアメリカ代表のロスター12名を発表し、ワールドカップ組からはエドワーズとタイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)が選ばれた。今夏はレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)やステフィン・カリー(ゴールデンステイト・ウォリアーズ)、ケビン・デュラント(フェニックス・サンズ)といった超大物たちとともに大会5連覇を目指す。

特にデュラントは、エドワーズがGOAT(史上最高の選手)と公言する憧れの選手。7月に始まるトレーニングキャンプから、日々の練習やエキシビションゲーム、本大会まで、一緒に過ごすことでさらなる刺激を得て成長の助けになるだろう。

近い将来にリーグのベストプレーヤーになるためにも、エドワーズがプレーオフで初の1回戦を突破することができるかは気になるところ。ウエスト第3シードのウルブズが対峙するのは第6シードのサンズ(49勝33敗/勝率59.8%)で、レギュラーシーズンは3戦全敗と相性の悪い相手だ。
デュラント、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールというベテランのビッグ3が中心のサンズ相手に、エドワーズは3試合で平均14.3点にフィールドゴール成功率31.0%(13/42)、3ポイント成功率27.3%(3/11)と苦戦している。

デュラントとのマッチアップではフィールドゴール成功率33.3%(4/12)の10得点、対グレイソン・アレンでは同18.2%(2/11)の4得点に終わっていることから、エドワーズの復調がシリーズ突破に向けたキーポイントになる。

一方、エドワーズにはディフェンス面でも期待がかかる。ロサンゼルス・クリッパーズ相手にはポール・ジョージをフィールドゴール成功率21.4%(3/14)の9得点に、カワイ・レナードに対しても同33.3%(4/12)の10得点に抑えており、マクダニエルズとともにサンズの得点源たちをスローダウンさせる役割が任されるだろう。

まずは20日に迎えるシリーズ初戦で、ウルブズがホームのターゲット・センターで幸先いいスタートを切ることができるか注目したい。

文●秋山裕之(フリーライター)

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