会社を定年退職した後、しばらく仕事を探さずに休養したいです。「雇用保険」は1ヶ月でどの程度もらえるのでしょうか?

雇用保険でもらえる失業手当とは

雇用保険に加入している人で、次の要件に該当する人は、失業手当を受給できます。

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(1) 就職しようとする積極的な意思があること
(2) いつでも就職できる能力があること
(3) 本人やハローワークの努力によっても就職できない「失業状態」にあること
(4) 離職の日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12ヶ月以上あること
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つまり、失業手当は失業した人が安定した生活を送りながら、1日でも早く再就職をするための支援として給付されるものです。したがって、定年退職をしてしばらく休養しようという目的では、手当を受け取ることができません。

失業手当を受給するためには、定年退職をしたあとも就職へ向けてハローワークに行って、求職の申し込みと所定の手続きを行い、就職へ向けた活動を積極的に行う必要があります。

また、他に、失業手当を受け取ることができないケースとして、以下のものがあります。

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(1) 病気やけがによって、すぐに就職ができない場合
(2) 妊娠・出産・育児のため、すぐに就職ができない場合
(3) 結婚などによって家事に専念していて、すぐに就職できない場合
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要件に該当したら、いつから、どれくらいもらえる

定年退職して、次の就職先を探している間に、いつから、どれくらいの金額がもらえるのか見てみましょう。

1.いつからもらえる?

ハローワークで所定の手続きが完了したら、すぐに手当がもらえるのかというとそうではありません。受給資格が認められてから7日間は「待機期間」と呼ばれ、離職した理由にかかわらず失業手当を受け取ることはできません。

また、定年退職し、再雇用ができるにもかかわらず退職した場合には、自己都合が理由となり、「一般の離職者」として扱われます。その場合には、7日間の待機期間のあと、さらに2~3ヶ月の給付制限が設けられており、その期間については失業手当を受けることができません。

なお、会社都合などで退職した場合には「特定理由離職者」となり、7日間の待機期間のあとに失業手当を受け取ることが可能です。

2.どれくらいもらえる?

失業手当の1日当たりの金額を「基本手当日額」といい、次の計算式で計算されます。

基本手当日額 = 賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180) × 給付率(45~80%)

つまり、退職前6ヶ月の賃金合計(毎月決まって支払われた賃金なので、賞与などは除きます)と給付率によって算出されます。給付率は、年齢と退職前の賃金によって変わってきますので、具体的にはハローワークで確認しましょう。

なお、基本手当日額は年齢区分ごとに上限額が決められており、60歳で定年した場合には7294円となります。

3.どれくらいの期間もらえる?

60歳の人が自己都合で退職した際には、表1のとおり、被保険者であった期間によって給付日数が決まります。

まとめ

会社を定年退職したあと、しばらく休養したいという理由では、失業手当を受給できません。手当を受け取るためには、ハローワークへ行って、次の就職へ向けて積極的に活動を行う必要があります。

ハローワークから失業手当の受給が許可された場合には、最大7294円/日を被保険者期間に応じた期間受給できます。

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数

執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー

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