神戸・ラーメン店主の組長射殺事件1年 銃撃犯、複数の車乗り継ぎ逃走か 計画的犯行で捜査

男性が倒れていたラーメン店の周辺を調べる兵庫県警の捜査員ら=2023年4月、神戸市長田区東尻池町9

 神戸市長田区のラーメン店で昨年4月、店主の男性が射殺された事件は、未解決のまま22日で発生から1年を迎える。捜査関係者によると、銃撃した犯人は複数台の車を乗り継ぎ、足取りを隠そうとした疑いがあることが判明。兵庫県警長田署捜査本部は計画的な犯行とみて調べている。

 捜査本部によると、殺害された店主は、特定抗争指定暴力団山口組弘道会傘下組織の余嶋学組長=当時(57)。

 事件は昨年4月22日午前、同区東尻池町9のラーメン店で発生。店内で倒れている余嶋組長を買い出しから戻った従業員が発見した。付近には薬きょうが落ちており、司法解剖の結果、余嶋組長の頭部から銃弾が確認された。至近距離から撃たれたとみられるが、拳銃などは見つからず、捜査本部は発砲した何者かが持ち去ったとみている。

 捜査関係者によると、店周辺の防犯カメラには、帽子をかぶった黒い服の人物が事件直後の時間帯に店を出て、歩いて立ち去る様子が記録されていた。

 別のカメラには、この人物が乗ったとみられる車が写り、捜査本部は岡山県などで乗り捨てられた複数台の車を発見。押収して車内を検証したほか、関係者への聞き取りや遺留品の鑑定も行った。

 捜査本部は、余嶋組長に関するトラブルや暴力団関係者の関与などを含めて調べを進める。

 2015年8月の山口組分裂後、組織間の衝突などに伴う銃撃事件が各地で相次ぐ。県警は組織同士の抗争にも神経をとがらせる。

 同区では17年9月、任侠山口組(現・絆会)系の組員が射殺され、県警が神戸山口組系組員を指名手配。19年10月には神戸市中央区で山口組系組員が神戸山口組系組員2人を射殺した。

 長野県宮田村で20年2月、暴力団関係者が撃たれた事件では、同県警が今年2月、殺人未遂容疑で絆会幹部を逮捕した。

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