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去年7月の大雨から9か月が過ぎました。3回シリーズでお届けしている
特集「被災地域のいま」。
最終回はおととし、去年と2度にわたり浸水被害が発生した五城目町の話題。
北嶋大聖記者のリポートです。
2024年4月17日放送 ABS news every.より
♢♢♢
去年7月の大雨災害から9か月。
五城目町ではこの春からようやく復旧工事に取りかかった住宅もあります。
対応できる業者が少なく、いわゆる順番待ち状態になっていることが大きな要因だと
町では話しています。
去年7月、馬場目川などの氾濫で633棟の住宅が浸水被害に遭った五城目町。
生活に必要な箇所の住宅修理費最大70万6000円を町が直接業者に支払う
応急修理制度の申し込みは先月末時点で210件。
今年度はさらに60件程度の申請が見込まれています。
応急修理制度を利用するには、工事がことしの7月12日までに完了していることが条件となりますが、
五城目町は現状、制度の受付期間の延長を検討していません。
制度の活用方法など引き続ききめ細かな情報発信が求められています。
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北嶋記者
「大雨は農地にも大きな爪痕を残しました。田んぼの修繕など復旧費用がかさむことから
経営する農業法人を解散せざるを得なかった男性もいます。」
「それでも男性は仲間とともに山間部の農地を守るための方策を模索し続けています。」
♢♢♢
今月5日、五城目町の山あいにある内川地区では
田んぼに流れ込んだ土砂を取り除く作業が急ピッチで行われていました。
来月に迫った田植えに間に合わせるためです。
おととし8月と去年7月の大雨で集落を流れる内川川は2年続けて氾濫。
土砂や木が広い範囲で田んぼに流れ込み、コメづくりに影を落としました。
高齢化もあいまって田んぼを手放そうと考える人も少なくなかったと言います。
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そういった集落にある田んぼの2割近くおよそ10ヘクタールの管理を引き受けていたのが
農業法人の代表を務める畑澤與左右衛門さん77歳です。
畑澤與左右衛門さん
「どんどん人がいなくなるっていうのは結局、
何をいつどうしてもしょうがないって思えば捨てちゃうからね。
じゃあ捨てられることでここはどうするのよと。」
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畑澤さんは造林会社も経営していてアルバイトを含め10人ほどの従業員を雇用していました。
おととし8月の記録的な大雨よる被害を受けた際には
「負けてはいられない」と農地や用水路などの復旧に力を尽くしてきました。
畑澤さん(2022年10月)
「水害あったからってみんなこっから撤退して、ああさよならって気持ちにはなれないですよね。」
「だからやっぱ俺はここが好きで、温泉が好きで」
「うん、やっぱり離れられないよな!」
「だからそういう人はまだ結構いるから、みんなでそういうのね頑張って
保全管理していきたいなとは思うんだけど」
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しかし、去年7月、再び内川地区を襲った大雨災害。
田んぼの修繕など再建にかかる費用がかさむ一方、
収入は大きく減り経営は大きな打撃を受けました。
畑澤さんは農業法人を解散、廃業せざるを得ませんでした。
それでも畑澤さんはコメの品質を左右する大型の乾燥機をはじめ、
所有している機械や設備は地域の農業の未来のために残していきたいと考えています。
畑澤さん
「誰かが、とにかく先になって、引っ張ってって
そういう話し合いしないと、
みんな『なんと、なんと』って全部諦めてるのが大半だから」
農業の担い手がいなくなり地域の農地が荒れ果ててしまうことを危惧する畑澤さん。
農業法人を解散した後も仲間とともに山間部の農地を守るための方策を模索し続けています。
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ただ、気がかりなのは県が進める新たな治水対策工事です。
内川川には河川のバイパス化とも呼ばれる捷水路(しょうすいろ)が設けられることになっています。
曲がりくねった流れをまっすぐに変えることで氾濫を防ぐのがねらいですが、
捷水路に沿って形が異なる整備しづらい農地が残るのではないかと懸念しています。
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地域にとってよりよい復旧の在り方を探り、
行政への働きかけを身体が続く限り行っていきたいと話す畑澤さん。
すべては次の世代へと農地をつなぐためです。
「なおよくなったなっていう中、こうなって進められればさ。」
「飼料用作物を重点的に私がたやってったから、それも復活させて
うまい具合に運営していけるような組織づくりさせれば、
なんとか若い人がたもなって思ったりはしてるんだけどもな。」
「だから、楽しい農業をしてもらいたいなって思ってる」
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北嶋記者
「県が主体となって進める馬場目川や内川川などの治水対策のための工事は、
完了まで数年単位の年月を要します。」
「畑澤さんは農地の再編や農家への支援の方向性について、
町や県に丁寧な説明を求めています。」
「なによりも願っているのは早期の着工です」