『花咲舞が黙ってない』今田美桜の表情豊かな演技が光る “平成版”を繋ぎ合わせる憎い脚本

ドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)第2話は、初回で描き切れなかった花咲舞(今田美桜)と相馬健(山本耕史)の息ぴったりな側面を映し出している。それは臨店班としてではなく、杏と上川隆也がそれぞれ舞と相馬を演じた“平成版”でも毎回印象的だった、食に目がないというプライベートの部分である。

前回はラストに隣店先が川越ということで、相馬が味噌ダレのもつ焼き屋があることをリサーチ。舞もそれに「いいですね。じゃあランチはそこにしましょう!」と返すが、一人の時間を大事にしたい相馬が舞との相席を拒むところでやり取りは終わっていた

第2話で臨店班が調査するのは、コーヒーショップチェーン「白石珈琲」。趣味は「食」で、全てにこだわりが強い相馬が言うには白石珈琲はチェーン店の中でコーヒーが一番美味く、特にトーストは「分厚いパンの焼き具合もいいし、発酵バターを使ってるからコクがあって美味い」と絶賛する。同時にトーストにかぶりつくと飛び出す舞と相馬の息のあった「うまっ!」。さらにサービスで提供された昔懐かしいバニラアイスを食べても、「うまっつ!」と今田美桜と山本耕史の阿吽の呼吸といったところだ。今田の大きな目がまんまるになっているのを見て、改めて花咲舞は適役なのだと感じる。

特筆すべきは、第2話で早くも相馬と花咲健(上川隆也)が出会うことである。先述した通りに上川は“平成版”にて相馬を演じていた。今回は舞の叔父という配役で参加しており、「花咲健」という役名もその名残だと捉えられる。言うなれば“初代”と“2代目”の相馬がどのように共演するのかは本作の大きな見どころであったが、健が店主を務める酒肴処「花さき」に相馬が飲みに訪れるというシチュエーションで2人は出会うことになる。

「こういう雰囲気のお店大好きなんですよ」「美味い!酒って言ったら純米が好きで」と舌鼓を打つ相馬に、健は嬉しそうに「初めてお会いしたのに、こんなに気が合う方がいらっしゃるなんて」とハイタッチを交わす。それは、同じ相馬健だったのだからと、思わずニヤリとしてしまう“平成版”とを繋ぎ合わせる憎い脚本だ(舞の父が農家になり、健が店を引き継いだという設定も見事)。そこにラフな私服、メガネ姿の舞が2階から降りてくることで、「花さき」が舞の家で、相馬が舞の上司であることを互いに把握するというところまではお決まりの展開と言えるだろう。舞が先月彼氏にフラれたばかりという余計な一言を健がバラしているのを見るとウザがられるのは「そういうところだろ……」と思ってしまうが、同じ「健」同士であることが分かる。2人が再び意気投合しているところから、また相馬が「花さき」の暖簾をくぐるのは確実だろう。

ほかにも、いつになくやる気になっている相馬に舞がにんまりとした表情を送ったり、オマールカフェCEOの雲井(浜田信也)に作り笑いを見せたりと、今田の表情豊かな演技が光っていた第2話。目指すべき人として憧れの眼差しを送っていた昇仙峡玲子(菊地凛子)から「あなたがどんなに頑張ってもこの銀行は変わらない」と言われ、舞は失望するが、やる気はさらに増していた。第3話の予告を見ると舞は再び銀行の闇に直面するようだが、相馬の筋トレゴムチューブにもついに手をつけるようだ。

(文=渡辺彰浩)

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