県職員、過労死ライン12倍 1~3月は944人 地震で業務激増、月100時間以上残業

  ●任期付き170人採用へ

 1~3月に「過労死ライン」とされる月100時間以上の残業をした石川県職員は前年同期比で12倍の延べ944人に上ったことが20日、県への取材で分かった。能登半島地震後に業務量が一気に増え、同期間の管理職を除く職員の総残業時間は前年の2.6倍となった。地震から4カ月近くたっても業務に忙殺される状況は続いており、県は人手不足を補うため、新たに170人程度の任期付き職員を採用する方針だ。

 県によると、知事部局の非管理職職員2636人のうち、過労死ラインを超えたのは1月が542人、2月が244人、3月が158人だった。前年は1~3月の合計が76人で、大幅に増加した。

 昨年度1年間の時間外労働の累計は前年比29.4%増の74万1145時間で、記録が残る2010年度以降で最多。1~3月に限ると2.6倍の33万3434時間となった。1カ月間の時間外労働が最も多かったのは、1月は土木部職員の326時間、2月は総務部職員の216時間、3月は総務部職員の243時間だった。

 新型コロナの感染が拡大していた時期も時間外労働は増えたが、該当する20年2月~21年3月に過労死ラインを超えた人は240人で、今回の地震対応に比べれば少なかった。

 総務部の担当者は「コロナでは健康福祉部など特定の部署の負担が大きかった。今回の地震は県庁内の幅広い部署に震災対応業務が発生し、職員全体の時間外勤務も比較にならないくらい増えた」と話した。

 応急対応の時期は過ぎたものの、生活やなりわいの再建、義援金配分やボランティアの調整業務、復興プランの策定など災害関連業務は山積している。県によると、約300人分の業務の人手が足りていないという。

 県は全国知事会を通じて都道府県の応援職員を約130人確保。それでも約170人が不足すると見込まれるため、3年以内の任期付き職員を採用する方針を固めた。任期付き職員をまとまった数で採用するのは初めてとなる。

 職種は事務と技術の両方で、詳細な人数を絞り込み、9月から来年4月にかけて順次採用していく。県の担当者は「職員の負担が過度にならないよう、早期に人手を確保し、震災対応に当たりたい」と述べた。

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