災害救助犬「候補」探せ 県育成団体が独自試験 現在3頭、能登地区ゼロ

能登半島地震の被災地で捜索活動に当たる災害救助犬と指導手(石川県救助犬協会連合会提供)

  ●珠洲で2遺体発見に貢献

 災害救助犬の育成に取り組む石川県救助犬協会連合会は5月、「候補生」となる犬の発掘を目指し、独自の認定試験を行う。能登半島地震では連合会所属の救助犬が行方不明者2人の遺体発見に貢献した。一方、県の委嘱を受けた犬は現在3頭で、能登地区では10年以上おらず、頭数不足が課題となっている。連合会は裾野拡大を図り、災害に備える。

  ●頭数不足解消へ

 県は審査会で能力が認められた犬を災害救助犬として嘱託している。審査は国際レベルの内容で、毎年クリアする必要があり、ハードルが高い。

 連合会独自の認定試験では、救助犬の素質を持った犬を「候補生」とする。その後、徐々に高度な訓練を受けてもらい、審査会での合格を目指す計画だ。犬種は問わないという。

 元日に起きた地震では、連合会に所属する災害救助犬指導手の西村外茂次さん(74)=金沢市=と涌田美樹さん(61)=同=が犬2頭とともに、発生直後の1月2日から奥能登に入り、消防などと連携して捜索活動に当たった。

 生存者の救出はかなわなかったものの、珠洲市内の捜索で救助犬が反応を示し、2人の遺体発見につながった。県外から駆け付けた災害救助犬も少なくとも1人の遺体発見に役立ったという。

 活動は2月16日まで計21日間に及び、西村さんと涌田さんは金沢と被災地の間を何度も往復、犬を十分に休ませることができなかったという。西村さんは「雪の降る中、休みなく捜索することもあり、大変だった」と犬をいたわった。

 県危機対策課によると、過去10年で多い年には8頭が県の委嘱を受けたが、2023年度は金沢地区2頭、加賀地区1頭の計3頭に減っている。能登地区は13年度の1頭を最後にゼロが続く。

 このため連合会は、特に能登地区での災害に迅速に対応できないことを懸念していたが、その不安が現実となった。松平博之会長(67)は「今回の地震では犬も人もヘトヘトになってしまった。裾野を広げ、県内20頭の救助犬を確保したい」と話した。

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