能登を応援、元J戦士躍動 ゴースタで慈善試合 ツエーゲンOBらと

シュートを放つ岡野。(右から)佐藤、久保らレジェンドが集結した=金沢ゴーゴーカレースタジアム

  ●「諦めない姿を見せたかった」

 サッカーの元日本代表選手と、ツエーゲン金沢OBらによる「能登半島地震復興応援チャリティーマッチ」(北國新聞社後援)が20日、金沢ゴーゴーカレースタジアムで行われた。「サッカーの力」で能登に元気を届けようとJリーグ選手OB会が協力し、レジェンドたちのプレーに5232人が沸き返った。被災地の小学生サッカー5チームが招待され、選手との交流に笑顔を見せた。

 復興応援マッチには、日本サッカー界を背負ってきた大物たちがそろった。広島などで活躍した佐藤寿人(ひさと)さん(Jリーグ選手OB会長)が中心となって参加を呼び掛け、中澤佑二さん、福西崇史さんら15人がチーム「ブルーレジェンズ」として集結。宮本恒靖さんが監督兼選手を務め、ツエーゲン金沢OBら石川ゆかりの20人でつくる「チームがんばろう石川」と対戦した。

 前後半各20分の試合は4―3でブルーレジェンズが勝利。「ドラゴン」の異名を持ち、ツエーゲンでもプレーした久保竜彦さんは、前半はブルーレジェンズ、後半は石川に移り、試合終了間際にPKを決めた。

 地震後、七尾など能登へ複数回訪れたという久保さんは「しんどかったけど、石川の人に諦めない姿を見せたかった」と、土壇場で見せ場をつくれて満足そうな表情を浮かべた。出場者最年長51歳の「野人」こと岡野雅行さんは試合後、能登から招かれた観客の席にユニホームを投げ入れ、ファンサービスにも努めた。

  ●能登のOB「感謝」

 能登出身者では、ツエーゲンOB寺内良太さん(旧押水町出身)がピッチに立った。実家は被害を免れたものの知人が被災したとし「能登のため元気をくれた全国のOBに感謝している。被災地では日常生活を取り戻すことが最優先だが、サッカーができる環境もなるべく早く取り戻してほしい」と願った。

 入場は無料で観客は募金に協力した。来場者全員で黙とうをささげた。ハーフタイムでは、ほくりくアイドル部が復興応援ライブで盛り上げ、七尾で炊き出しを行った歌手の伍代夏子さん、パフォーマー佐藤三兄弟が能登に寄り添う気持ちを伝えた。会場には輪島朝市の10店が出店した。

 実行委員長の小島潔さん(小島歯科クリニック院長)は「復興は1年で終わらず、応援マッチの継続開催を願う声も出ている」と話した。

  ●能登5チーム交流戦

 試合前には、珠洲エスペランサFC、輪島SCジュニア、セブン能登ジュニア(七尾市)、志賀町サッカースポーツ少年団、FBC能登の小学5、6年生48人が「ふれあいサッカー」と題して、元日本代表らとの混成チームで交流試合を楽しんだ。

 能登のグラウンドは地震で損傷、もしくは仮設住宅の建設で使えない場所がある。まだ練習が再開できない輪島の舩板優愛(ゆちか)主将は「近くで見た選手のパスやドリブルはすごかった。自分たちのプレーを褒めてもらえて励みになった」と喜んだ。

交流試合を楽しむ能登の子どもたち

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