楽天 苦労人の石原がプロ初の猛打賞 直近3年で1軍出場わずか1試合「やらなあかんて」

 8回、右越え適時二塁打を放つ石原(撮影・持木克友)

 「西武2-8楽天」(20、ベルーナドーム)

 捕手奪取を狙う男が試合を決めた。楽天・石原彪捕手が、同点の八回に決勝の2点適時二塁打を放つなど、プロ初の猛打賞で3打点と大暴れ。攻守で躍動しチームの連敗ストップに貢献した。「うれしいっす。チームが勝ててよかった」と笑みをこぼした。

 絶好の場面だった。2-2と同点の八回、1死一、二塁。「チャンスやったんで、打ったらでかいなって」。直球を捉えると打球は右中間を破る勝ち越しの2点適時二塁打。ベース上でベンチに向かって力強いガッツポーズを見せた。

 石原はプロ8年目の苦労人だ。度重なるケガもあり、直近3年間は1軍でわずか1試合の出場。「危機感というか、やらなあかんて」。2月のキャンプでは1軍に抜てきされ「監督も変わってアピールすることも増えた」と鼻息は荒かった。

 多方面から刺激を多く受けている。オフにはソフトバンク・甲斐に弟子入りしている。「拓さんは何事にもキャッチャーは我慢だって常に言っていた。参考になることしかない」と尊敬のまなざしを向ける。さらに高校の同級生で昨年セ・リーグ最優秀バッテリー賞を受賞したDeNA・山本の存在も大きい。「一緒にプレーしてたんでめちゃくちゃうれしい。僕も頑張ろうとなる」と話していた。

 強い覚悟を持った今季。開幕から安定したリードに加え、2日の日本ハム戦(エスコンフィールド)でプロ初本塁打を放つなど、日に日に存在感を増している。ここまで半分以上の試合でスタメンマスクをかぶっている石原。正捕手争いは熾烈(しれつ)だが「自分のプレースタイルでやっていきたい」と周りは気にせず「勝てるキャッチャー」を理想に掲げ、チームを引っ張る存在になる。

© 株式会社神戸新聞社