阪神・岡田監督 神采配で今季初15得点&5連勝 二回無死満塁で大竹「打て」から一挙7得点「1週間くらい前がウソみたい」

 2回、同点適時打を放つ大竹(撮影・立川洋一郎)

 「阪神15-2中日」(20日、甲子園球場)

 竜のしっぽを捉えた!阪神は岡田彰布監督(66)の采配がはまり、首位・中日に大勝した。1点を追う二回、無死満塁で投手・大竹に「打て」と指示すると、値千金の同点打が飛び出し、一挙7得点のビッグイニングにつなげた。クリーンアップ3人が打点を挙げるなど先発全員安打で今季最多14安打15得点。5連勝とし、21日に勝てば首位に浮上する。

 面白いように打線がつながり、得点が生まれる。岡田監督もベンチで何度も笑みをこぼした。ともに今季最多となる14安打15得点で今季初の5連勝。18日・巨人戦(甲子園)まで10試合連続2得点以下と貧打にあえいでいた猛虎が牙を取り戻した。10試合で計15得点だった打線が1試合だけで15点を奪って見せた。指揮官も信じられないといった表情で振り返った。

 「何と言ったらええか。なんか1週間くらい前がウソみたいですけどね」

 大勝劇の裏には岡田監督の絶妙の采配が隠されていた。1-2と逆転を許した直後の二回だった。先頭のノイジーが四球で出塁した。犠打も考えられた場面で坂本は強攻し、左前打を放った。さらに木浪が連打で続き、無死満塁の絶好機で投手の大竹が打席に入った。

 次打者に近本が控えており、打たなくてもいい場面だった。昨年のDeNAとの開幕戦では、無死満塁で打席が巡ってきた青柳に三振を指示。続く近本の犠飛で追加点を奪っていた。だが、この日は違った。大竹が初球ストライクを簡単に見逃すと、ベンチの岡田監督は右手で「打て」のしぐさをしてニヤリ。大竹は「(打撃コーチの)水口さんが、めちゃくちゃ気合入った顔で『打て』という顔をされたので」とカウント2-2からの直球を強振。大野のグラブをはじく同点適時打となり、この回一挙7得点につながっていった。

 序盤に苦しんでいた大竹に立ち直りのきっかけを与えたのも指揮官の助言だ。直球やカットボールで力勝負を挑み、何度も痛打され、持ち味を見失っていた左腕に「もっと遊べ、遊んで投球しろ」と安藤投手コーチを通じて伝えた。自身の強みでもある緩急を思い出した大竹は4番・中田に対して89キロのスローボールを投じるなど、別人のような投球で今季最長となる7回を投げ抜いた。

 森下、大山、佐藤輝の主軸が適時打でそろい踏みを果たすなど、今季初の先発全員安打で2カード連続の勝ち越しとなった。巨人が敗れたため2位に浮上。13日の時点で「4」あった首位・中日とのゲーム差は6試合で0.5差まで肉薄し、21日も勝てば首位に立つ。「1試合1試合やるだけなので。そんな簡単じゃないですね」。勝つことの難しさを誰よりも熟知する智将は、浮つくことなく手綱を引き締めた。

 ◆今季最多15得点&1イニング7得点 今季初の2桁得点で15得点は2023年5月14日・DeNA戦(甲子園)以来。1イニング7得点は今季最多で2020年8月6日・巨人戦(甲子園)の八回以来。なお、1イニング得点の球団並びにセ・リーグ記録は69年5月27日・アトムズ戦(神宮)の六回に記録した13得点。

 ◆猛虎猛追!1週間で4→0.5ゲーム差 わずか1週間で阪神は首位・中日とのゲーム差を4から0.5に縮めた。13日・中日戦で敗れた時点で阪神は4位タイで中日と4差。しかし打線を大幅変更した翌14日・中日戦からこの日まで1分けを挟む5連勝。この間、中日が2勝4敗で、阪神が猛追を見せている。

 ◆今季最多14安打&初の先発全員H 今季初の先発全員安打で今季最多14安打。先発全員安打は2023年5月24日のヤクルト戦(神宮)以来、1試合14安打は23年9月23日・ヤクルト戦(神宮)以来。

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