[J1第9節]川崎 0-0 東京V/4月20日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu
J1の9節では川崎と東京Vが対戦。川崎は好機を作るも最後までゴールが遠く、東京Vも最終盤のチャンスを生かせずに、スコアレスドローで勝点1を分け合った。
攻撃が自慢だった川崎は4試合連続無得点(6節・横浜/△0-0、7節・町田/●0-1、8節・C大阪/●0-1、9節・東京V/△0-0)。これは2012年以来、約12年ぶりの不名誉な記録だという。
9試合終えて2勝2分5敗の16位で、降格圏とは勝点2差と苦しい状況が続く。
いわゆる“ゴール欠乏症”改善には、鬼木達監督は「やり続けるしかない」と話す。
「(無得点は)一番悔しいところ。クロスひとつをとっても入っていく人数や、そこに到達しなかったりだとか、ちょっとしたところですが、そこは言い続けてトレーニングでやっているところなので、やり続けるしかないと思います」
例年同様4-3-3でスタートした開幕当初は点も取れたが、複数失点も重なり、攻守のバランスを整える4-2-3-1へ布陣を変更。5節のFC東京戦こそ3-0で快勝したが、その後は守備面は改善傾向にあるが、今度は攻撃のパワー不足というジレンマにハマっている。
東京V戦はFW陣のパワーやスピードを生かそうとエリソンと山田新を最前線に並べる4-4-2を採用し、前半途中で4-2-3-1へ戻した指揮官はこうも口にした。
「やはり攻撃と守備は分けて考えてはいけないと思いますので、そこは難しいところです。後ろの安定は必要だと考えています。(東京V戦も)ゼロで一生懸命抑えていますし、他の試合でも失点は少なくなっています。
少し後ろ髪を引かれながらと言いますか、そういう部分もあるかもしれませんが、そこはチームとして後ろというわけではなく、安定したボールの動かし、前進できることで、押し込めると思うので、奥までいけば思い切ってプレーしていると感じますし、そこのところがひとつ重要なのかなと」
件のFC東京戦の前、3連敗を喫した際に鬼木監督は、原点回帰するかのように、技術の重要性と、魅力的に攻め勝つ川崎スタイルの追求を改めて呼びかけた。
海外挑戦を含め、主力選手の相次ぐ移籍で、昔を知る選手も減っているなか、それでも、一歩ずつ、チームはベースの再構築を押し進めているのだ。
キャプテンの脇坂泰斗もこう語る。
「意図的にゴール前まで持っていけたシーンは、(前節の)セレッソ戦よりは多かったので、そこの手応えを感じつつも、それだけでは勝てないとも改めて思いました。それを増やしていくことが大事かなと」
東京V戦では今季の新戦力、ファンウェルメスケルケン際が左SBの先発でリーグ戦初出場を果たし、相手のDFを剥がして持ち運ぶプレーを披露。さらにここ数試合はCBに入る佐々木旭もボールを運ぶプレーを増やしている。こうした場面を脇坂もポジティブに評する。
「際くんに限らずですし、例えば旭にも口酸っぱく言っていて、実行しようと、試合ごとにやれることが増えていっているなと感じます。本職ではないなかであれだけのプレーをしているのは本当に頼もしいですし、そこを受け取った自分らがどう攻撃につなげていくかは、やっていきたいです。
ただ、まだパスコースが少ないというか、僕がターンしたり、マルシーニョが突破しても選択肢がふたつくらいだと、なかなかその中から良いものを選ぶのは難しいので、3つ、4つ作ったなかで、相手を動かして、厚みっていうんですかね、そこを出していければ良いと思います。でも、今日(東京V戦)のところで言うとチャンスはあったので、決め切る力が足りなかったとも感じます」
一歩ずつではあるが、チームとして前進はしているように映る。4試合連続無得点で順位を考えれば悠長なことは言っていられない。それでも、チームのコンセプトを曲げずに進むには、今は目先の結果に捉われすぎるのではなく、後ろからの丁寧で柔軟なボールのつなぎ、攻撃の意思疎通の改善を、一丸となって取り組むことが大事なように感じる。
ただそれにはクラブとして相当な忍耐と覚悟が必要だ。改めてクラブに関わる誰もが腹を括る必要があるのだろう。
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)